• "農地"(/)
ツイート シェア
  1. 長野県議会 2022-10-04
    令和 4年 9月定例会本会議-10月04日-06号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 9月定例会本会議-10月04日-06号令和 4年 9月定例会本会議 令和4年10月4日(火曜日)  出席議員(56名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 原 健児    30 番 小池久長   5 番 清水正康    31 番 丸山大輔   6 番 加藤康治    32 番 酒井 茂   7 番 川上信彦    33 番 堀内孝人   8 番 山田英喜    34 番 石和 大   9 番 大井岳夫    35 番 依田明善   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 山岸喜昭   16 番 丸茂岳人    42 番 丸山栄一   17 番 竹内正美    43 番 小池 清
      18 番 竹花美幸    44 番 宮本衡司   19 番 宮下克彦    45 番 清沢英男   20 番 大畑俊隆    46 番 鈴木 清   21 番 共田武史    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   54 番 本郷一彦    56 番 服部宏昭   55 番 萩原 清    57 番 望月雄内  欠席議員(1名)   53 番 平野成基         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      吉沢 正   副知事       関昇一郎    建設部長      田中 衛   産業政策監     伊藤一紀    公営企業管理者   企画振興部長    清水裕之    職務執行者・企   須藤俊一   総務部長      玉井 直    業局長   県民文化部長    山田明子    財政課長      高橋寿明   県民文化部こど   野中祥子    教育長       内堀繁利   も若者局長             教育次長      今井義明   環境部長      猿田吉秀    警察本部長     小山 巌   産業労働部長    林 宏行    監査委員      田口敏子   業労働部営業   局長        金井伸樹   観光部長      渡辺高秀   農政部長      小林安男         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    総務課課長補佐   宮島文明   議事課長      矢島 武    兼庶務係長   議事課企画幹兼           総務課担当係長   津田未知時   課長補佐      蔵之内真紀   総務課主事     浜村幸宏   議事課課長補佐   吉沢秀義   兼委員会係長   議事課担当係長   矢島修治         ───────────────────  令和4年10月4日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    請願・陳情取下げの件(日程追加)    議員提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    請願・陳情提出報告、委員会付託    請願・陳情取下げの件    議員提出議案         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、大井岳夫議員。       〔9番大井岳夫君登壇〕 ◆9番(大井岳夫 君)おはようございます。自民党県議団、大井岳夫です。  昨年9月、丸山大輔議員の奥様が何者かに殺害されてから1年がたちました。この間、このあまりにも凄惨な事件を受け、どうしたら犯人の検挙に結びつくか、また同じような犯罪が起こらぬようどのような対策を講じれば未然に防ぐことができるかを考え、昨年11月定例会にて、安全、安心に暮らせるための防犯対策についてという項目で警察本部長、阿部知事に質問いたしました。  警察本部長からは、割れ窓理論も参考にしながら、軽微な犯罪も積極的に取り締まり、犯罪の起きにくい社会づくりを推進していくとの決意があった一方で、知事に質問しました主要線道路や交差点への防犯カメラの設置は、警察の人員も限られている中、犯罪発生の抑止力となり犯人の検挙にも貢献するものですが、答弁は、公共の場所を撮影する防犯カメラについては、犯罪の抑止効果とともに犯罪発生時における的確な対応を行っていくために有効である一方、県民のプライバシー保護にも十分配慮することが必要。警察本部において、街頭防犯カメラの設置費用の一部を助成している。広い長野県において、主要幹線道路や交差点に一律のルールで設置していくということについては現段階で考えていないという趣旨でした。  さて皆様、9月末時点で県において県管理道路に設置してあるカメラは何台か御存じでしょうか。確認したところ、41路線96か所とのことです。ただ、その設置目的は、道路管理者として、積雪や路面状況、交通渋滞、異常気象時の道路状況の把握、道路利用者の情報提供というものであり、道路情報カメラという呼称で山間部や積雪地域、交通渋滞箇所アンダーパスなどに設置されています。では画像の精度はどれくらいか確認をしたところ、ナンバープレートまでは把握できないとのことであり、県管理道路における防犯機能を有するカメラの設置はゼロであることが分かりました。  昨年の事件を受け、塩尻市では、不安を覚える市民の声を受け、運用におけるガイドラインを策定した上で、市の施設である支所、保育所、児童館、消防団の詰所に、地域バランスに配慮しながら31か所に新たに防犯カメラを設置。また、本年度からは、自治会や商店が防犯カメラを設置する際の補助制度を設けたところ、現在までに4件の申込みがあったとのことです。  一方、県における防犯カメラの関与は、警察本部からの設置費用の助成のみであり、県が主体となった防犯カメラに関わる新たな動きは見受けられません。  そのような認識の下、防犯カメラに係る質問では、昨年よりも角度を変え、安全、安心の信州の確立に向けて順次質問いたします。  1として、刑法犯の検挙率は平成14年度以降上昇傾向にありますが、足元では、コロナ禍により検挙率に悪影響も見られます。検挙率アップに向けた取組について伺います。  2として、犯罪は巧妙化、グローバル化の度合いを増していますが、捜査人員の大幅な増員は見込めません。それを補うため、警察業務全般にIT、DXの推進が必要と考えますが、いかがか。また、捜査や日常のパトロールにAIをどのように取り入れていくお考えでしょうか。  3として、先ほども触れましたとおり、昨年9月29日、丸山大輔県議の奥様が何者かに殺害されました。心から改めて哀悼の意を表すものであります。長野県警として全力で捜査を進めていただいておりますが、いまだ容疑者の検挙には至っていません。これまでどのような体制でどのような捜査がなされたのでしょうか。また、周辺にお住まいの皆様、県民の不安を解消するためにも、一日も早い検挙に向け、今後どのような捜査を行っていく方針でしょうか。  4として、犯人の早期検挙には、犯人の目撃情報等の有力な手がかりが不可欠ですが、目撃者頼みの情報収集にも限界があると考えます。そこで、街頭に設置された防犯カメラが果たす役割や増設の必要性について警察としてどのように捉えているでしょうか。以上、警察本部長に伺います。  防犯カメラは、犯罪を未然に防ぎ、検挙率の向上に重要な役割を発揮します。ゆえに、市町村と連携し、県が管理する道路への段階的な設置を検討していただきたいと考えていますが、昨年の知事答弁から二つの課題が浮かび上がりました。  1として、広い長野県に一律の設置は難しいという予算的な課題、2として、プライバシーへの配慮という課題です。予算上の課題については段階的な設置を検討していただくしかありませんが、プライバシー上の課題については検討の進め方によって解決が図れるのではないかという考えにより質問いたします。  5として、県が管理する道路への防犯カメラの設置においては、まずはその検討に向け、近隣の複数の県で制定されている防犯カメラの設置や運用に関わるガイドラインを、プライバシーの保護にも配慮の上、長野県においても制定すべきと考えます。県民の命を守るリーダーとして、犯罪を未然に防ぐ安全、安心な信州の確立に向けた知事の決意を伺います。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)4点御質問をいただきました。  まず、検挙率の向上に向けた取組についてでございます。  県警察では、県民の安全、安心を確保するため、客観証拠による的確な立証を可能とするDNA型鑑定等の科学技術の活用を推進してございます。また、防犯カメラ画像の抽出及び解析を支援する装備資機材や体制の整備など捜査支援分析の強化を進めております。引き続きこれらの取組を推進し、検挙力の強化を図ってまいります。  次に、警察業務のIT、DX化についてお答えいたします。  近年、「電話でお金詐欺」やサイバー犯罪のような非対面型犯罪が高水準で推移しているなど、治安上の課題は一層複雑化、困難化している一方、警察官の増員は全国的にも容認されておらず、今後も厳しい状況にあると承知しております。  このような情勢の中、警察が執行力を維持しつつ様々な課題に的確に対処し続けるためには、警察業務のデジタル化をはじめとした科学技術や先端技術の導入などによる業務の効率化が必要であると認識しております。  県警察では、交通事故捜査にドローンの導入を図っているところであり、また、AIについては、「電話でお金詐欺」対策での活用を検討しているところでございます。今後も、科学技術や先端技術についてどのような警察業務に活用できるかを含め、その有用性を見極めながら導入について検討してまいります。  次に、丸山県議の奥様が殺害された事件に関して御質問がございました。まずは答弁に先立ち、改めて被害に遭われました故人に哀悼の意を表するとともに、丸山県議をはじめ御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。  県警察では、約140人体制、9月末現在で延べ4万5,000人余りの捜査員を投入し、鑑識資料や防犯カメラ映像の収集分析、目撃情報等の収集などを行ってございます。御遺族のため、また、地域の皆様の不安を解消するため、県警察の総力を挙げて早期の事件検挙を図る所存でございます。  最後に、防犯カメラの果たす役割や増設の必要性についてお答えいたします。  街頭に設置される防犯カメラは、地域住民の身近で起こる犯罪や、地域住民が不安に感じる子供や女性への声がけ事案等の発生を抑止し、県民の安全、安心を守る上で大きな役割を果たすものと考えており、必要な場所に街頭防犯カメラが設置されることが望ましいと考えております。  そのため、県警察では、平成29年から長野県警察街頭防犯カメラ設置促進事業として、自治組織や市町村が設置する街頭防犯カメラについて設置費用の一部を補助しているほか、適正かつ効果的な設置や管理のために必要な情報提供、助言などの支援を行っているところでございます。引き続き事業の活用について自治組織や市町村に働きかけ、街頭における防犯カメラの設置促進を図ってまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には安全、安心な信州の確立に向けた決意を伺うという御質問を頂戴いたしました。  まず初めに、昨年9月にお亡くなりになられた丸山大輔県議の御令室様の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、丸山県議をはじめ御遺族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げます。警察本部においては、犯人の検挙に向け最大限力を尽くしていただきたいというふうに考えております。  警察力の向上、そして県民の皆様方の安心、安全を守るということは、私としても非常に重要な役割だというふうに考えております。これまでも、警察本部からの御要望を踏まえて、各種捜査力の向上のための予算を措置させていただいています。特に、警察については、まずは体制が重要ということで、警察職員については、警察官の定数は政令で定まっておりますので、これまで何度か国に対して政令定数の増加を働きかけてまいりましたし、現時点では県の条例定数は国が定めた政令定数を93名上回る定数とさせていただいているところでございます。  また、警察力の強化ということで、例えば、要撃捜査支援カメラの配備をはじめとして、県警からの要望、要請を踏まえて必要な予算措置を行わせてきていただいているところでございます。引き続き、警察本部としっかり連携を取りながら、県民の皆様方の安全を守るために必要な予算措置を行ってまいりたいと思っております。  御提案にございました防犯カメラの設置・運用ガイドラインについてでございますけれども、今社会全体に防犯カメラがどんどん増えているという状況がございます。個人情報を保護するという観点からもルールを定めていくことは私も重要だというふうに思います。防犯カメラの適正な管理運用のための指針について早期に定める方向で検討していきたいというふうに思います。  引き続き、県警本部とも一体となりながら、日本一安全、安心な信州を目指してしっかり取り組んでいきたいと考えております。  以上でございます。       〔9番大井岳夫君登壇〕 ◆9番(大井岳夫 君)阿部知事の答弁より、日本一安全、安心な信州を目指す、そして、その具体的な施策の一つとしまして、防犯カメラ運用に係るガイドラインを積極的に定める方向で検討するという答弁をいただきました。これまでの考え方より大きな前進であると思います。策定に向けた今後の取組の推進を期待し、注視してまいります。  次に、部活動の地域移行について質問します。  先日、熊谷議員より幅広く質問いただいたことで、その答弁により、県内の実証実験から見えてきた課題、指導者の確保、教員の負担軽減効果、保護者の負担等の考え方については理解できましたので、角度を変え、掘り下げて質問してまいります。
     1として、休日の部活動地域移行により平日と休日の指導者が異なる場合、指導方針の違いが生じることが想定されます。情熱的な指導はすばらしいことである反面、平日と休日の指導者双方が熱心に指導され過ぎた場合は、オーバーワークを招きかねません。体が成長途上にある中学生時において、スポーツによるオーバーワークは禁物であり、適度に体を休める時間が不可欠です。そこで、やり過ぎを防ぎ、よりよい取組にしていくため、指導者間の連携にどのような対策を講じていくか。  2として、地域を拠点とするスポーツチームが継続していくためには、行政からの支援だけでなく、企業からの支援も必要となります。県内においては、野球、サッカー、バスケットボールなどのプロチームが多くの企業から支援を受けて活動しており、海外においても企業が総合型地域スポーツクラブをスポンサードする事例もある中、長野県独自の取組として企業との連携について検討すべきと考えますが、いかがか。  3として、2028年に長野県で開催される信州やまなみ国民スポーツ大会に向けては、会場や全国からの選手受入れ態勢の整備と並び、選手強化も重要であります。部活動の地域移行に国民スポーツ大会に向けての選手強化をどのように位置づけていくか。以上、教育長に伺います。  次に、民間企業との人事交流について質問します。  学校教育は聖域とも表現されることからも、民間や企業の価値観、倫理とは一定の距離を持たなくてはなりませんが、教育の目的の一つは社会が求める人材を育成するということにあります。よって、広く社会を知っている、例えば教員に民間企業やNPO等での経験があれば、児童や生徒に実体験を持ってより説得力のある効果的な指導ができると考えます。  また、教員が企業での研修で得られた経験により、より広い視野で物事を捉える力を養い、教員としての資質向上にもつながると考えます。これは、県職員においても同様であり、公務員の職務においてはサービス業の視点も重要という捉え方からすると、民間企業との交流は大きな意味を持ちます。  そこで、1として、民間感覚を有する教員の育成についてですが、長野県教育委員会においては、教員として採用10年目に民間における異業種体験研修を2日間行っていますが、研修における成果をどのように評価しているのでしょうか。また、現在の2日間という期間は果たして妥当なのでしょうか。さらには、採用10年目という時期ではなく、新卒やもっと早い時期に実施できないでしょうか。  2として、私の友人にも金融機関での勤務を経て教育現場で活躍されている先生がいらっしゃいますが、民間企業等での勤務経験を有する教職員の採用について、これまでの実績と、発揮された効果をどのように捉え、今後の方針をどのように考えられていますでしょうか。以上、教育次長に伺います。  3として、県職員の民間企業への出向について、県でも民間企業との人事交流を行っていますが、その目的と、現在どの程度の人数が民間企業に出向し、また、民間企業からの出向を受け入れているでしょうか。  9月14日の新聞で、「サントリー社員、地方自治体への出向を始める」との報道がなされました。ESG、環境、社会、企業統治の重要性が高まる中、民間で得られない公益的な視点やノウハウの獲得につなげることを狙いとしており、これまで9人が地方自治体に出向し、同社では今後出向者を年間20人程度に増やしたいと考えている。航空業などでも同様の動きが広がっているとのことです。  このように、民間では新たに地方自治体への出向を始める企業があるなど、官民の垣根を越えた人材交流は今後も活発にもなるものと考えます。双方にとって視野が広がり、お互いのノウハウが身につけられるなど、ウィン・ウィンの関係が構築でき、双方に大きな効果をもたらすことが期待され、社会貢献にもつながることから、県でも民間との人事交流について取組を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、総務部長に伺います。  最後に、地熱発電について質問します。  2050年ゼロカーボン化に向け、火山国である日本において、昼夜を問わず24時間安定的に発電できる地熱発電への期待は大であります。日本の技術は世界の70%を占めている、地熱発電だけで原子力発電39基分のポテンシャルがあるとも言われていますが、2030年度に向け、発電容量は現状の約3倍を目指すとしているものの、現在日本における再生エネルギー需給全体の1%にも満たず、発電施設容量では2020年現在で世界10位という順位であり、エネルギー先進国に大きく水をあけられています。  国内に目を移すと、地熱発電所は東北と九州に集中しており、国内最大は大分県の八丁原発電所で11万キロワット、一方、長野県は国内有数の温泉県であるものの、現在稼働している当県最大の発電所は高山村の20キロワットと、圧倒的な規模の開きがあります。ただ、国内最大規模に匹敵する発電容量を目指し、県内数地点で調査が進んでいるとも聞いています。  そこで、本県の地熱発電に関するポテンシャルへの評価と、2050年を見据えてゼロカーボン戦略ではどう位置づけているかを伺います。また、県として企業が行う発電施設の開発等にどのように関わり、サポートしていくのか。今後の方針を環境部長に伺います。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)私には3点御質問をいただきました。  まず、部活動の地域移行における平日と休日の指導者間の連携についてのお尋ねでございます。  休日の部活動が地域移行された段階においては、議員御指摘のように、子供たちのオーバーワークが生じたり、平日と休日の指導者間の指導方針の相違により戸惑いが生じるなどの可能性が考えられます。  県教育委員会といたしましては、地域移行された後の活動も、現在行われている中学校の部活動と同様に、過度な練習やスポーツ障害を防止するため、まずは県教育委員会が定める中学生期のスポーツ活動指針に沿って適切に行われることが必要と考えております。  また、中学校と地域が地域移行後の活動をどのようにするか関係者間で十分に話し合い、参加する子供たちのニーズに沿って平日と休日の活動を合わせた練習計画を立てるなど、子供たちが戸惑うことなく一体的な指導ができるようにすることが大切であり、現在、市町村教育委員会にこれらの周知を図っているところでございます。  地域移行後の企業との連携についてでございます。  部活動の地域移行の目的の一つは、地域に持続可能なスポーツ環境を整備し、子供たちが継続してスポーツに親しめる機会を確保することであり、地元企業をはじめ様々な団体などから協力を得ることもその目的を果たす上で大変有効な手段であると考えております。県教育委員会といたしましては、議員御指摘のような取組や様々な先進事例を参考に、多くの企業等から協力や支援が得られやすい仕組みについて研究してまいります。  部活動の地域移行に国スポに向けた選手強化をどう位置づけるかについてのお尋ねでございます。  信州やまなみ国スポに向けた選手強化につきましては、現在、競技団体が積極的に取り組んでいるところであり、競技団体が子供たちの競技力を高めたい、信州やまなみ国スポに出場したいといったニーズに応え、地域移行後の活動に携わる場合には、学校や地域などの関係者と活動理念を共有し、平日の活動と合わせて効果的、効率的な活動を行うことが重要であると考えております。  先ほど申し上げましたスポーツに親しむための活動に加え、このような活動も地域移行後の形態の一つとして考えられるところであり、国スポでの活躍を望む子供たちの思いに応えられるよう、引き続き関係者間で理念を共有することの重要性などについて競技団体や市町村教育委員会等に周知を図ってまいります。  以上でございます。       〔教育次長今井義明君登壇〕 ◎教育次長(今井義明 君)民間感覚を有する教員の育成について3点御質問をいただきました。  まず、異業種体験研修の成果と期間の妥当性についてでございます。  異業種体験研修の狙いは、地域に学び、学校教育を外から見ることで視野を広げることにありますが、実際に研修を行った教員の報告の中では、例えば、自動車販売店で常にお客様を第一に考えて様々なニーズに応える従業員の姿に接し、教師も、子供を第一に考えて、子供に寄り添う姿勢を持ち続けることが欠かせないと改めて実感したですとか、小型部品を製造する会社で独自の技術により最高品質の製品をつくることが誇りであると語る社員の姿に触れ、教師としての自分の誇りとは何なのかを考えさせられたなど、自分たちと違う職種に触れることで、教員として当たり前になっている日常を振り返り、これからの教師としての在り方を考える貴重な機会になっていると考えます。  研修期間につきましては、平成29年度までは5日間程度の実施としておりましたが、平成30年度に2日間へ変更いたしました。教員に求められるスキルが多様化する中、教員研修の内容も多岐にわたり、地域や民間企業の方を講師とする研修も増えていることや、異業種研修を受講した教員が教師としての自分をしっかりと見返す様子が見られることなど、狙いとしていることが達成されていることから、現在の期間は妥当であると考えております。  次に、異業種体験研修の実施時期についてでございます。  平成29年度までは、新規採用3年目の教員に対して異業種体験研修を行っておりました。しかし、その時期の教員の一番の課題は授業づくりや学級づくりであり、研修受講者から日頃の実践の充実につながる研修を希望する声が多く届いたため、研修時期を採用10年目に移行いたしました。  採用10年目の教員は、中核となって学校を支える自覚を持つ充実期に入る頃であり、改めて日常の教育活動や自らの使命を振り返るのに適した時期であると判断いたしました。先ほど答弁いたしましたように、今の自分を見返し、研修の意義を実感している状況を鑑みますと、10年目の実施が適切ではないかと考えているところであります。  最後に、民間企業等経験者の採用実績と効果、今後の方針についてでございます。  県教育委員会では、教員採用選考において、一般選考と社会人を対象とした選考を設けており、社会人を対象とした選考は、一定の経験年数を条件に、教職経験者や民間企業等経験者の採用を行っております。  このうち、直近の5年間で採用した民間企業等経験者は、小中特別支援学校で59名、高等学校で28名であり、採用者全体に占める割合は、小中特別支援学校では2.8%、高等学校では5.7%となっております。  その経験が発揮された例としては、中学校の技術・家庭科で、ホームページの作成に携わっていた経験を授業に生かし、専門性の高い指導を行い、生徒のICTスキルが向上したですとか、高校の工業科で、食品会社で新商品の開発に携わった経験を生かし、大学や企業と連携し、課題研究や高校生ものづくりコンテストの指導を行い、各種の賞を受賞したなど、学校以外の社会での経験が様々な場面で教師としての強みになっていると考えています。  学校は、多様な児童生徒が集い、生きる力を育みながら自身の将来を構想していく場であると考えております。多様な経験や価値観を持った人材の採用を継続し、その経験やスキルを生かせるような校内体制を整えていきたいと考えております。  以上でございます。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)民間企業との人事交流の状況と今後の取組についての御質問でございます。  民間企業との人事交流につきましては、職員の多様な経験による視野の広がりや、民間企業での柔軟な発想、顧客意識、専門性などの県組織への取り込み等を目的に実施しているところでございます。  令和4年度は、6名を派遣し、7名を受け入れており、平成30年度から令和4年度までの過去5年間では延べ28名を派遣し、26名を受け入れているところでございます。令和3年度からは、DX推進のための受入れを増やすなど、交流を進めているところでございます。  また、県組織への民間感覚の取り込みとしまして、社会人経験者の採用を積極的に行っておりまして、令和4年4月には13職種47名を採用しております。平成24年の採用開始から採用者数を増やしてきておりまして、これまで延べ300名以上を採用してきているところでございます。  民間企業との人事交流は非常に有意義であるというふうに考えております。今後とも、新たな交流先の開拓に努めるなど、人事交流を積極的に進めるとともに、社会人経験者の採用や任期付職員等の外部人材の活用によりまして、多様化、複雑化する県政課題に対応できる組織づくりに努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)地熱発電につきましてお答えいたします。  環境省の再生可能エネルギー情報提供システム、REPOSによりますと、本県の地熱発電、温泉熱発電の導入ポテンシャルは、2019年時点で年間発電電力量4,623ギガワットアワー、全国第8位の高さと推計されており、普及拡大の余地が大きいと考えております。  長野県ゼロカーボン戦略では、2050年度800ギガワットアワー、再エネ全体の約5%のシェアを目指し、自然保護や地域のコンセンサスを図りつつ促進すること、温泉熱についても様々な方式の利用システムの普及に取り組むこととしております。  地熱発電等は、一般的に、発電開始までの期間、リードタイムが長期にわたることから、可能性調査など初期の段階から収益納付型補助金による資金面の支援や、ゼロカーボン推進室が窓口となり庁内関係課が連携して相談に対応するなど、円滑な事業化を図ってまいります。  以上でございます。       〔9番大井岳夫君登壇〕 ◆9番(大井岳夫 君)それぞれ答弁をいただきました。  部活動の地域移行は、課題は多いものの、中学生や地域にとって大きな可能性が開ける取組であります。また、過去の指導で見られた水を飲ませないで長時間ぶっ通しで走らせ続ける、また、大声で怒鳴るなど、気合、根性論中心の指導、叱責中心の指導は、競技を嫌いになり、スポーツ離れを招きかねません。  それが、部活動地域移行により、中学生がより多くのスポーツを経験するきっかけとなり、よりスポーツを楽しみ、身体の鍛錬とともにさらなる人間的な成長につながってほしいと願いまして、私の本定例会における一切の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君)次に、原健児議員。       〔4番原健児君登壇〕 ◆4番(原健児 君)上伊那選出、原健児でございます。私は、地元小中学校で毎日登校の見守り活動を行い、クラブ活動支援、放課後学習支援などに参加してまいりました。日々、子供をはじめ、保護者、先生方、教育関係者、地元行政の方々と接してまいりました。今回はそこに関わる二つの課題に対して質問をいたします。  一つ目。信州型コミュニティスクールに関して。  10年前、地元小学校のPTA会長を務めさせていただきました。そこでコミュニティ・スクールを知ることになりました。その年、地元にて阿部知事との教育懇談会が開催され、信州型コミュニティスクールについて質問いたしました。知事からは、学校が変わっていく希望を抱く回答をいただきました。そこから今日まで注目してまいりました。  信州型コミュニティスクールとは、国が進めるコミュニティ・スクールに対して、学校運営参画、協働活動、学校関係者評価を一体的に行う県民独自の仕組みと説明を受けました。そして、現在県内全ての公立小中学校で信州型コミュニティスクールが導入されていると発表されています。  昨年、支援をしている学校の勧めで、コミュニティ・スクールのコーディネーター研修会に参加いたしました。私の感想、また現場の声は、コーディネーターは各校の教頭、教務主任の先生が担当されることが多く、地域のコーディネーターが育っていないことで継続的な協力者の確保に苦慮している。さらに、教育委員会が発表している取組事例においては、学校と保護者、地域の方が共有する話合いの場が必要である。うちの学校は信州型コミュニティスクールとなっているが実はよく分かっていないという課題が掲載されています。  公表されている県内全ての公立小中学校で導入されているという実態は、3本柱を一体に行うという目的に程遠いように思います。3本柱の一つ、協働活動、つまり以前から行われている地域の皆様によるボランティア活動のみができているといったことにすぎないのではないでしょうか。国の進めるコミュニティ・スクールの導入学校が県内で増えている一方、学校運営参画という3本柱が機能していない地域も多いのではないでしょうか。この点の認識を内堀教育長にお聞きいたします。  先日、上伊那総合技術新校再編実施計画懇話会を傍聴いたしました。懇話会のワークグループで行われる議論、それが学校運営参画の一つの形ではないでしょうか。このような方式を信州型コミュニティスクールに取り入れるべきだと思います。この先、信州型コミュニティスクールをどのように発展させていくのか。これから次期長野県教育振興基本計画が策定される中で十分な検討がされるのか。内堀教育長にお聞きいたします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)2点御質問をいただきました。  まず、信州型コミュニティスクールにおける学校運営参画についてのお尋ねでございます。  県内全ての公立小中学校で取り組まれている信州型コミュニティスクールでは、地域住民、保護者、学校が対等な立場で学校運営参画と協働活動、そして学校関係者評価を一体的に推進するため、任意の仕組みである学校運営委員会または法律に基づく学校運営協議会が設置されています。  これらの委員会等の中には、育てたい子供の姿や学校と地域の教育目標について熟議による深い議論が行われているものがある一方で、形式的な話合いにとどまり、必ずしもそれらを共有できていないものもあり、学校運営参画の質的な向上が課題であると認識しております。  市町村教育委員会の中には、学校運営への地域や保護者の参画をより強めるため、法的権限を持つ学校運営協議会制度を導入するところも増えてきておりますが、任意の運営委員会を置いている学校においても、例えば、学校と地域の関係者が育てたい子供の姿を共有した上で必要な教育活動を洗い出し、役割を分担して具体的な活動を実行している事例もございます。  県教育委員会といたしましては、いずれの形態であっても、子供たちの豊かな学びのためにコミュニティ・スクールが果たすべき役割について関係者がより深い共通理解を図ることが重要であると考えております。  続きまして、信州型コミュニティスクールの発展についてでございます。  県教育委員会では、平成25年度から信州型コミュニティスクールの取組を推進してまいりましたが、多くの学校で地域との協働活動が活性化している一方で、先ほど申し上げましたとおり、地域や保護者による学校運営参画については、学校によって取組の質に濃淡があるなどの課題が見られます。  そのため、県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会や学校等の要望に応じ、学校と地域保護者との理念の共有方法について助言するアドバイザーの派遣や、熟議を促す研修会の開催、取組の参考となる好事例の情報発信等必要な支援を充実したいと考えております。  また、現在、次期教育振興基本計画を策定するための有識者懇談会において、多様な人材の学校への参画促進や共学共創による地域づくりが重要なキーワードとして挙げられておりますので、これらを踏まえながら、次期計画において、コミュニティ・スクールのさらなる発展についてどのような方向性が示せるか、さらに検討を進めてまいります。  以上でございます。       〔4番原健児君登壇〕 ◆4番(原健児 君)挙げられている課題を解決していただきまして、ぜひ盛んな信州型コミュニティスクールの発展を願っております。長野県民の学校に対する協働活動が盛んであることは常々感じております。また、導入例の少ない高等学校へのコミュニティ・スクールの対応も検討をお願いいたします。  続きまして、二つ目。上伊那地区における児童相談所の在り方についてでございます。  毎日の見守り活動を通して、子供の態度、言葉から、家庭や学校に問題がありそうなことが見えてくることがあります。しかし、問題を掘り出し、解決に至るまでを経験したことはありません。子供にも家庭にも個人が簡単に踏み込めるものではありませんから。  家庭や学校の問題を真っ先に受け入れてもらえる相談場所、児童相談所は、より身近にあるべきです。上伊那郡は、広域行政区域と異なり、伊北地域は諏訪相談所に、伊南地域は飯田相談所にと分かれています。このことによる行政との連携に問題はないのか。伊北地域、伊南地域、それぞれに異なる課題はないのか。野中こども若者局長にお聞きいたします。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には上伊那地区における児童相談所と行政との連携について、また、諏訪及び飯田児童相談所の各管轄区域における異なる課題の有無について御質問をいただきました。  児童相談所が虐待相談等に迅速かつ的確に対応するためには、市町村はもとより、学校、警察、医療機関、社会的養育関係者など地域の関係機関と緊密な連携を図り、地域全体で子供を支えていくことが重要でございます。このため、児童相談所におきましては、管内市町村における関係者連絡会議や研修会を定期的に開催するとともに、要保護児童対策地域協議会などに構成員として参加し、支援を必要とする児童に関する情報共有や支援方法に関する専門的・技術的助言を行い、地域の児童相談体制の強化に努めているところでございます。  上伊那地域におきましては、これらの取組に加えて、管轄する諏訪児童相談所及び飯田児童相談所が中心となって、昨年4月から上伊那地域の子育て支援体制在り方検討会を設置しております。上伊那広域圏内の市町村をはじめとします多くの関係機関に御参加いただき、子育て支援に関する地域の課題、保護者のニーズの把握、さらなる連携体制の構築に向けた取組について定期的に協議を行うなど、両児童相談所が連携して上伊那圏域全体への対応に努めているところでございます。  この検討会では、管轄区域ごとに異なる課題というものは出ておりませんけれども、上伊那地域の共通の課題といたしまして、母子の預かり支援、障がい児支援、子供の居場所づくりなどに関する人材や社会資源、また里親の成り手が不足している。社会資源について市町村の枠を超えて情報共有やサービスの利用が可能となることが必要といった意見が挙げられているところでございます。  児童相談所におきましては、こうした課題に対して地域の関係機関の皆様と共に取り組み、顔の見える連携体制を構築し、上伊那地域の子供たちの安心・安全確保に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔4番原健児君登壇〕 ◆4番(原健児 君)子供の環境は複雑さを増し、より早い対応が必要となっています。例えば、諏訪、飯田双方から伊那市などへの出張所という手段で、身近に相談所を構えることはいかがでしょう。それも、暗い庁舎の中ではなく、寄りやすいショッピングセンターの一角を用い、相談しやすい環境にて運営していただくのはどうでしょうか。検討いただきたいと願います。今後、委員会の中で進捗を確認させていただければと思います。  以上で私の質問を終わりにいたします。 ○議長(丸山栄一 君)次に、山田英喜議員。       〔8番山田英喜君登壇〕 ◆8番(山田英喜 君)上田・小県郡区選出、山田英喜です。  初めに、農産物新品種の海外無断流出の抑制について質問いたします。  シャインマスカットは、およそ30年の開発期間を経て2006年に国の品種保護制度に登録されました。国内外で人気で、1房1万円以上の値がつくものもあり、農家にとっては大きな収入源となりました。一方で、この間、中国、韓国での無断栽培の横行など、農家の所得向上に水を差すような出来事も判明しています。  農林水産省のまとめによると、かんきつや桃、サクランボ、サツマイモ、ブドウなど計36品種が中国、韓国のインターネットサイトで販売されている疑いが浮上しています。特に、シャインマスカットの中国における栽培面積は日本の30倍にもなり、損失は年間100億円を超えると試算されています。日本のブランド農産品が常に狙われている実態が明るみとなり、日本産のブランド価値を著しく傷つけていることは間違いありません。
     今年4月には、品種の国外持ち出しを規制する改正種苗法が施行されましたが、例えばブドウの場合ですと、4センチほどの苗木でも根がついていれば新たに栽培することが可能なため、持ち出しが容易で、中国や韓国のブローカーが日本産品種を狙い続けている実態からも、引き続き規制の網をかいくぐるためのあらゆる企てを行うことは容易に想像できます。そのため、長野県にとっても、国の法改正に任せるだけでなく、県独自で様々な対策を講じていかなくてはならないと考えます。  そこで、平成21年に農業試験場に設置した知的財産管理部において、特にクイーンルージュやナガノパープルなどの新品種の県外、海外への無断流出など、知的財産の保護と活用にどのように対応してきたのか。また、どんな課題があるとお考えか。  続けて、近年の果樹、野菜など品目ごとの新品種の開発状況はいかがか。特に、リンゴ「シナノゴールド」の海外許諾料などを活用した新たな品種の開発研究をどのように進めているか。農政部長に伺います。  次に、阿部知事がトップセールスを行うオーストラリアとの経済連携について伺います。  個人的に、私もオーストラリアに2年ほど生活していた経験から、思い入れの強い国でもあり、ぜひ経済連携を進めていただきたいと期待しています。  昨年私がオーストラリアに住む友人に携帯を見せていただいたところ、国民一人一人に個人番号が付番されていて、携帯で免許証や口座など多くのものがひもづけられており、日本では多くのコストと議論のあった1人10万円給付などの手続も前触れなくバウチャーとして携帯画面で確認できる形で振り込まれるなど様々な行政手続の差が大きく、DXにおいても参考になる点が多いことを実感いたしました。  一方で、以前から中国資本に土地や建物を多く買われてきたことや、クイーンズランド州の軍事的にも重要な港、ダーウィン港の賃借契約99年間を結ぶなど中国資本が多く入ってきた国でもあります。  こうした動きに危機感を持ったオーストラリア政府は、2020年末に、外国政府と州や国内公的機関が締結した合意を連邦政府が見直すことができる対外関係法を制定し、これによって州政府や地方政府、大学などが外国勢力と結んだものや将来の合意を撤回させる権限を持ちました。  実際に、メルボルンなどがあるビクトリア州政府が中国政府と締結した現代版シルクロード経済圏構想、通称一帯一路構想の覚書が対外関係法により撤廃につながっているとのことです。こうした動きも、現在の日本の状況の一歩先を行って、国土が外国資本に買収されていく危機に直面し対策を講じている面もあることから、日本にとって政治的にも参考にしていくことができる国だとも考えます。  阿部知事の議案説明の中では、オーストラリアへのトップセールスはスキー客を中心とした観光誘客を行うとありました。オーストラリアの人々の生活スタイルでは、日本人に比べ数か月という長期の休暇を取得することも多いことから、スキーの誘客はこれまでも大きな可能性として取り組んできましたが、これまでのオーストラリアからの誘客の成果と課題について観光部長に伺うとともに、これまでも知事は、アメリカ合衆国のミズーリ州やコロラド州での現地関係者との意見交換、ベトナムでの人材育成に関する覚書の締結、タイでの県産品のPRや小売店舗の視察などに自ら行かれたことがありますが、今回のオーストラリアでのトップセールスの意義と意気込みについて伺います。  続けて、営業局では、これまでもアジア各国でフェア、イベントなどを通じて市場調査を行っており、信州ブランドの可能性として、高価格帯の日本酒やシャインマスカットは香港、シンガポールへ、リンゴ、桃、ブドウは香港、シンガポール、台湾へ、また、健康志向から注目される市田柿は、香港、台湾、タイへの輸出が考えられるとされてきました。オーストラリアにおいては、独特の生態系や自国の農業を保護するため農産物の輸出は難しい面もあるかと思いますが、観光誘客だけでなく、農産加工品や製造品の輸出など、貿易の強化にもいい機会と考えますが、いかがでしょうか。また、時差が少なく季節が真逆、国民の所得も比較的高いオーストラリアとの経済面での連携強化についてどのようにお考えか。併せて産業労働部長に伺います。  次に、昨年9月の私の一般質問で、日本において人口減少が進む一方、世界的には人口が急増する中で、私は生産労働人口の減少の補完策として、外国人労働者の受入れよりも先に、産業ロボットに転換すべき業種においては推進を図っていくべきと考えること。そして、日本の少子高齢化による人口減少は、世界的に見ても、AI、IoTや産業ロボットの導入により、産業労働人口の減少をカバーするのに国民の反発が出にくい数少ない国であることから、積極的な導入で生産労働人口を賄うべきと考える一方で、生産をすれば当然消費する人も必要であることから、多くの業種において海外への販路を確保していくことが必要であると考え、Eコマース、ECサイト、越境ECを活用した販路拡大について質問いたしました。  その中では、EC市場の規模が急増していることなどの例を挙げて、新型コロナウイルスの影響を受けている食品製造業者や小売業者の皆様にとってECサイトでの販売は新たな販路の一つとして需要が増しており、今後もこの傾向が続くものと考えるとした一方で、オールNAGANOモールに申込みのあった事業者のうち、ECサイトでの売上げが全体の1割以下という事業者が約6割を占めている状況で、ECサイトのさらなる活用がこれからの課題とも触れられていました。  そこで、ECを活用した海外での販路開拓として、今年度オーストラリアとシンガポールの2か国のECサイトに県の特設ページを開設するとのことですが、その進捗と課題、あわせて、このほかにも輸出に適するかどうかの見極め支援としてテストマーケティングの場を提供しているとのことですが、その状況について営業局長にお伺いします。  続けて、変化する河川の生態系や有害鳥獣被害について伺います。  近年、稚魚を放流しても育たないと漁業関係者の方々の声を至るところで伺います。この河川の生態系の変化には多くの方がそれぞれの見解を持っているのですが、推測の域を出ずに時間が過ぎてしまっています。  特に、ここ5年でアユが育たなくなった依田川の場合ですと、水温低下が原因との見方や、上流から流れる塩素が原因ではないかということ。台風災害以降の河川の流れの変化、上流で生コンクリートが河川に流れ稚魚に影響しているのではないか。またはカワウなどの大型の鳥がアユを大量に食べてしまうからではないか。さらに、農薬などの流入が原因ではないかなど様々指摘されていますが、原因は解明されていません。特に、依田川の場合、アユが育たなくなって年数が浅いわけですが、現時点での原因について県の見解を農政部長に伺います。  また、長野県も関わる河川生態学術研究会千曲川研究グループでは、平成26年に第1回の検討会が開かれ、これまでに11回開催されています。この研究結果の評価と、今後生態系の早期改善につながると考えるか。環境部長にお伺いします。  最後に、有害鳥獣による農作物被害について1点だけ伺います。  先日ブドウ、リンゴ農家の方と現地を回らせていただきました。その際に、鹿、イノシシ、熊による農作物の被害に加え、菅平高原ではイノシシにグラウンドの芝をひっくり返されるなど例年より多くの被害が発生しています。  菅平高原には、捕獲された鹿などを無駄にしないため新たに食肉加工施設が建設されるなど、民間での対策も見られますが、特に、熊は、鳥獣保護管理法により、狩猟による捕獲を除いて、農作物の被害が出る場合や人間に被害を及ぼす場合、学術研究上必要性がある場合などは都道府県知事の許可の下に捕獲することができますが、熊の被害を中心として、長野県の有害鳥獣被害防止に向けた取組と猟友会への周知や連携についてどのように考えているか。林務部長に伺います。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には3点御質問をいただきました。  初めに、農産物の知的財産保護への対応と課題についてでございます。  県が開発したナガノパープルなどの品種については、種苗法に基づく品種登録を行い、育成者の権利が守られるように栽培国・地域を限定し、海外への持ち出しを禁止しております。また、近年は、特に戦略的に重要な品種については、販売面においてもその名称を永久に維持できる商標権を活用し、権利の保護を開始したところです。  具体的には、ブドウ「クイーンルージュ」については、国内の品種登録名を長果G11として登録し、加えて、販売名称を無断で使われないよう「クイーンルージュ」として商標登録し、ブランド化による販売戦略を進めているところです。さらに、海外で無断増殖されないよう、韓国、中国では品種登録を申請したほか、本県の輸出重点先である香港などの海外でも名称を商標登録し、権利保護を図っております。これらの対策を講じても、近年ネットによる無断販売が多いことや、海外での無断栽培・販売への対応が難しいこと、さらには出国時の水際対策などが課題となっております。  次に、新品種の開発状況等についてでございますが、農業関係試験場では、ブドウ「クイーンルージュ」やイチゴ「サマーリリカル」、お米「風さやか」など、過去5年間に、果樹で5品種、野菜で6品種、穀物で6品種など合計20品種を開発してまいりました。  また、シナノゴールドの海外許諾料を活用した新品種の開発につきましては、リンゴの生産安定による産地維持を図るため、重要な病害である黒星病に強い品種の育成に注力しているところです。  今後も、消費者に求められる大粒で皮ごと食べられるブドウや、生産者が栽培しやすい病害に強いレタスなど、競争力が高く生産安定や農家所得の向上につながる新たな県オリジナル品種の開発を進めてまいります。  最後に、依田川におけるアユの生育不良についてでございますが、一般的に、アユの生育は、天候、水温、濁りなどの自然環境や餌となるコケの生育状況など様々な要因に左右されると考えられます。  依田川を管内とする上小漁業協同組合に確認したところ、直近6か年のアユの生育調査では、ここ2年のアユの大きさはやや小ぶりとの結果でした。この原因は、降雨による水温の低下や川底の形態の変化など複合的な要因が影響しているものと考えられますが、原因の特定は難しい状況です。しかしながら、今年は、お盆を過ぎてからは生育の回復が見られ、大きなアユも釣れるようになったと聞いておりますので、引き続き上小漁業協同組合からの情報収集に努めてまいります。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私にはこれまでのオーストラリアからの誘客の成果と課題についてのお尋ねをいただいております。  オーストラリアからの誘客については、これまで毎年5月にシドニー等で開催される旅行博「Snow Travel Expo」への継続的なブース出展や、現地の旅行会社等を対象にした観光セミナー、商談会などを実施してきたところでございます。その成果として、コロナ前の令和元年のオーストラリアからの延べ宿泊者数は10万6,000人に達しており、10年前の平成21年の1万4,000人から7倍以上の増となっているところでございます。  課題につきましては、旅行博への出展はコロナ禍においても継続してまいりましたが、2年半のブランクが生じていることから、改めて本県のスキーや歴史文化などの魅力をきめ細かく発信すること、来訪が少ないグリーンシーズンへの誘導をすることなどが挙げられるところであり、こうした課題も意識して今後のプロモーション等を展開してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私にはオーストラリアのトップセールスの意義と意気込みについてという御質問を頂戴いたしました。  コロナ禍の中でなかなか海外に行く機会もなかったわけでありますけれども、まず真っ先にこのインバウンド、誘客のために海外へ行かなければいけないというふうにずっと考えていたところでございます。そうした中で、今月の11日から、これは私どもも政府に働きかけてきたわけでありますけれども、水際対策の緩和ということで、個人旅行等も解禁されることになりました。私としては、世界の国々と比べますと、やはり我が国はコロナの水際対策は非常に慎重な対応をしてきておりますので、海外からすると、観光を積極的に受け入れているのか受け入れていないのかよく分からないという状況が続いていたというふうに思いますので、まずはしっかりとインバウンドを再開して、受け入れる我々長野県としても大歓迎だというメッセージをしっかりと発していきたいというふうに思っております。  また、観光関係の皆様方とお話をすると、特に、ウインターリゾートは、世界のウインターリゾートとの競争になっておりまして、少し早めに水際対策が緩まっている欧米と比べてちょっと出遅れ感がありますので、出遅れをしっかり取り戻すべくアピールしていきたいというふうに思っております。  この間、本県のウインターリゾートは国にも大分応援をいただいています。例えば、国際観光旅客税を活用して国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業という事業で様々な施設整備や受入れ環境整備を行ってきています。ハクババレーや志賀高原、野沢温泉などは、こうした事業を活用して大分受入れ環境の整備が進んできていますので、そうしたこともしっかりアピールしていきたいと思いますし、現地においては、有力な旅行会社やマスメディア関係の皆様方をお招きしてセミナーを開催して、広く我々の受入れ環境、県としての姿勢をアピールしていきたいというふうに思っています。まずはこの冬の観光誘客に努めると同時に、今後も継続的にお客さんにお越しいただけるようにしていきたいというふうに思っています。  加えて、この観光面だけではなく、先ほどの御質問にもありましたように、オーストラリアとはいろいろな面でしっかり連携をしていきたいというふうに思っています。日本政府観光局はもとより、ジェトロや、できれば大使館も訪問させていただく中でオーストラリアとの関係強化を図っていきたいというふうに思っておりますし、県産品のPRや、脱炭素社会の実現に向けた取組についてオーストラリアの皆様方と意見交換をする機会を設けていきたいというふうに思っております。  経済面、環境面では、特に世界の国や地域との協力連携が極めて重要になってきているというふうに思っています。コロナでそうした活動は少し足踏み状態が続いてまいりましたので、今回のオーストラリア訪問を契機に、これまでの遅れを一気に取り戻していきたい、また、海外との協力関係をしっかり強化していきたいというふうに考えております。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)オーストラリアとの貿易強化、経済面での連携強化についてのお尋ねをいただきました。  我が国とオーストラリアとは、1957年に日豪通商協定を締結して以来、経済面での関係を深め、2020年現在、オーストラリアは我が国にとって第6位、逆に我が国はオーストラリアにとって第3位の貿易相手国となるなど、緊密な二国間関係を構築してきたものと認識しております。本県からは情報通信機器メーカーの販売拠点などが進出しており、輸出生産実態調査によれば、建設機械や印刷装置、医療用機械器具等が輸出され、2020年の輸出総額は35億6,800万円に上ります。  議員御指摘の農産加工品については、今後トップセールスの機会も活用し、日本酒の販路拡大やみそなどの発酵長寿食の魅力をアピールしたいと考えております。また、信州大学の先鋭材料研究所とオーストラリアのウーロンゴン大学との間で環境エネルギー分野での共同研究や人材交流も進行中とお聞きしております。  議員御指摘のように、時差が少なく季節が真逆であることのメリットを生かした人的交流や農産物加工品等の輸出拡大などを相互に期待できることから、未来志向で多様な経済連携の道を探ってまいります。       〔産業労働部営業局長金井伸樹君登壇〕 ◎産業労働部営業局長(金井伸樹 君)私には県産品の海外への販路拡大について2点御質問をいただきました。  初めに、ECを活用した海外での販路開拓の進捗と課題についてのお尋ねでございます。  県では、議員御指摘のとおり、いわゆる越境ECサイトによる輸出の可能性に着目いたしまして、今年度から、比較的距離が近く、1人当たりGDPが日本を上回り、ECの利用率も高いシンガポール、本県への来訪者や在留邦人が多く日本酒の需要が高いオーストラリア、この両国のECサイト上に一定期間本県の特設ページを開設することといたしました。  シンガポールのECサイトでは、7月からお菓子や調味料、日本酒など8事業者13品目の販売が行われておりまして、これまでに100万円余の売上げがございました。オーストラリアにつきましては、現在15事業者48品目が選定されまして輸出に向けた手続が行われておりまして、11月からECサイトへの掲載と販売が開始される予定となっております。  越境ECサイトによる販売には、サイトを運営する輸入事業者によって商品が選定される必要がありまして、いかに多くの事業者の商品が選定されるかが課題だというふうに考えております。このため、選定に至らなかった品目につきましては、その理由などを事業者にフィードバックしまして商品の改良、開発につなげてもらうなど、できるだけ多くの事業者が輸出の機会を得ることができるよう応援してまいりたいというふうに考えております。  続きまして、海外でのテストマーケティングの状況についてのお尋ねでございます。  県では、タイに販売拠点を持ち現地販売している県内企業に御協力いただきまして、輸出を志向する事業者の皆様にテストマーケティングの場を提供する取組を令和元年度から実施しているところでございます。  これまでに延べ27事業者が活用しており、テストマーケティングからの情報を基に、例えば市田柿の販売事業者には、包装のデザインを木箱風に変更しまして高級感を出すことでより付加価値が高められるのではないか。加工ワサビの販売事業者には、現地の食材と合わせた料理を提案するための試食会を開催したらどうかなど、販売拠点から今後の海外展開に向けたアドバイスをいただいております。  ここでの販売を契機に、タイのほか、ほかの国への輸出に踏み出そうとしている事業者もありまして、引き続きこの取組を通じて県内事業者の皆様の海外への販路開拓のお手伝いをしてまいります。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)河川生態学術研究会千曲川研究グループの研究結果の受け止めについてのお尋ねでございます。  千曲川研究グループは、生態学と河川工学の研究者で構成され、国土交通省からの研究委託を受け、千曲川中流域において新しい河川管理に向けた総合的な研究を実施しているものでございます。  平成28年度から令和2年度に実施されました研究においては、私ども環境保全研究所の研究員も参画し、バクテリアから藻類、水生昆虫、魚類、鳥類に至る生物生産性の実態把握とモデル化などが行われました。このうち、魚類につきましては、外来魚であるコクチバスが、本来の生息場所である流れが緩やかなふちではウグイなどの在来魚を捕食する一方で、流れの速い瀬の部分では水生昆虫を捕食し、餌の面でも在来魚と競合しているなどの実態が初めて明らかになりました。  その一方で、令和元年東日本台風により、千曲川では河道の構造が大きく変動したことから、その後の生態系の変化を把握することが必要と考えております。現在、長野大学を中心とした千曲川研究グループによる新たな調査研究が進められており、こうした研究を通じて、在来種を中心とした河川生態系の回復につながることを期待しております。  以上でございます。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)熊を中心とした有害鳥獣被害防止対策についてお答えします。  今年4月から8月までの熊の出没等の状況ですが、里地での熊の目撃件数は553件、人身被害件数は5件と、昨年同時期の目撃775件、人身被害8件よりは減少しているものの、おおむね過去10年間の平均並みとなっています。  熊など野生鳥獣による農林業被害に対しては、農政部と連携して電気柵の設置などの侵入防止対策、緩衝帯整備や誘引物の除去などの生息環境対策、生息状況を把握するモニタリングに捕獲対策を組み合わせた総合的な対策を講じてきております。  熊に関しては、個体群を維持しつつ、人身被害等を防ぐため、今年度からの新たな保護管理計画において、年間捕獲上限頭数の拡大や北信地域の一部に限定してきた春期捕獲の全県拡大、また、奥山から市街地までを4区分に分類し、農地や人家が集まる地域では市町村の判断で捕獲できる仕組みの導入といった見直しを行ったところです。  捕獲の中心的な役割を担っている地域の猟友会に対しては県が保有する鳥獣の生息状況等のデータを提供するほか、人里への出没に備えた関係機関との連絡体制を密にするよう依頼していますが、今回の保護管理計画の見直しや出没時の対応についても改めて共有し、さらなる連携を図ってまいります。  以上です。       〔8番山田英喜君登壇〕 ◆8番(山田英喜 君)それぞれ御答弁をいただきました。  今回は、新品種の海外流出に加えて、農業や漁業などの課題の共有など県民の財産を守っていただきたいという思いと、また、海外への販路の確保により外貨を稼ぐことを主に質問させていただきました。特に、新品種の海外の無断流出に対しては、県としても対応を図っていただいてきているということも確認できましたので、また引き続きの対応をお願いできればと思っております。  また、オーストラリアについては、現在でも石炭や天然ガスなどの資源開発が盛んであることに加えて、メルボルンでは、水素エネルギーの分野で次のドバイを目指すとして、次のエネルギー開発に注力しているということもあり、先ほど阿部知事からもありましたが、長野県が目指す脱炭素への取組でも将来的に参考になる可能性の高い国であると考えております。  ぜひ阿部知事のトップセールスを通じて様々な面で連携強化が図られますことを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(丸山栄一 君)次に、花岡賢一議員。       〔10番花岡賢一君登壇〕 ◆10番(花岡賢一 君)先週の代表質問から始まり今日まで多くの議員の皆様が取り上げてこられた長野県総合5か年計画について、知事の任期満了による改選と新しい計画の策定への検討が行われる現在は、今後の長野県の方向づけがされる非常に重要な期間であるということは間違いありません。議会サイドといたしましても、長野県総合5か年計画研究会が設置され、私も参加する中、よりよい計画となるよう両輪がフル回転している状況であると思います。  次期総合計画の中で過去と大きく違うこととしては、計画の検討及び根拠に基づく政策形成の推進のためAIを活用して長野県の未来に関するシミュレーションを行うといった内容が含まれていることだと思います。シミュレーションですので、実際に計画を策定するということは人の手で行われるとしても、行政の施策に人工知能が入ってきたことに驚きは当然あるとして、デジタル化やIoTの流れが始まっている現在の状況を目の当たりにすると同時に、この波に乗らなければ確かな暮らしが営まれる美しい信州を持続的に継続、発展させることは不可能であると確信しております。  一般質問の最終日でございますけれども、大上段に構えたような質問も項目として立ててございますが、今しばらくお付き合いいただきます。  現行の総合計画を策定する際にも議会サイドの研究会は立ち上がっており、30代であった私がなぜか研究会に参画させていただいた当時を思い返してみても、しあわせ信州創造プラン2.0というタイトルにどこか未来を切り開く設計図的なニュアンスを感じ、研究会がその役割を終えたとき、自分をなぜか誇らしく思っていたことを思い出します。  2.0ということは、2.1にも、2.2にもマイナーチェンジをかけて時代にマッチする、そうしたことができる政策の柔軟性を感じておりましたし、幾つになっても学ぶことはできる、しかし感じることはその瞬間にしかできないといったことを常々意識しながら生活している私にとって、サブタイトルの「学びと自治の力で拓く新時代」との響きに心地よさすら感じておりました。  しかし、新型コロナウイルスの世界的大流行により、様々な制限がかかり、思うようには施策展開ができなかった悔しさも含んだ2.0であったと思っています。計画を策定する側、それを研究する側にとってみれば、私のように理解が進んだと申し上げますか、理解ができたような方も多くいたとは思いますが、実際に一般の方に今こんな形で長野県は政策を実行しているのだよと伝えても、いまいちぴんときていないことが多いように感じておりました。せっかくよいことをしていても、受け取る側が理解できなければ、一体何をやっているのだとなりかねない隔たりが政治と生活には時として存在しています。願わくば、施策の方向性が多くの方に伝わり、共に未来を開いていけたらと強く思っています。  そんな中、まず現行計画において、基本目標の実現に向けて、学びと自治の力を政策推進のエンジンと位置づけていますが、これはどのように機能しているのでしょうか。  そして、現行5か年計画には、中長期的視点で六つのチャレンジプロジェクトを提示しています。そういったこともこの5か年計画の特徴の一つでありますが、これは2030年の長野県のあるべき姿や将来像に向かって取り組んでいく政策の方向性を提示しているものですが、その中にはデジタル化という内容を見ることができないように、策定時においての概念を大きく超えてしまう状況が現在あると取ることができます。2030年を見据えた構想と捉えるならば、現在継続中、実施中のものもあるでしょう。その中に追加や強化を行わなければならない内容もあると思います。計画の改定を迎えるに当たり、チャレンジプロジェクトの振り返りについて、ここまで2点、企画振興部長にお伺いいたします。  さらに、現行計画の中には、学ぶ県組織への転換が示され、位置づけられています。これは、対外的に県組織はこのように変わっていきますと宣言を行ったものと捉えておりますが、他の重点目標に比べ目標数値のない内容でありますが、確実に実行されておりますでしょうか。こちらは総務部長にお伺いいたします。  続いて、次期計画を策定するに当たり、少し掘り下げた質問を申し上げます。  総合計画となると、5か年のように中長期的な内容を組み、目標設定を基に施策を行うことがありますが、現在の状況は、VUCAの時代と言われ、変化が激しく予測が立てづらい時代、その中にあっては、5か年計画のようなものより、即時に対応できる柔軟な施策をまとめたほうが計画として適していると私は思うのですが、企画振興部長のお考えはありますでしょうか。  様々申し上げてきましたが、現行計画にある「学びと自治の力で拓く新時代」との副題は、対話と共創といった形の意味合いのものに変わってくるのではないかと私なりに推測しています。  知事と各会派代表者との懇談会で、総合計画の表題、タイトルに対して様々な意見が出たものと承知していますが、県民に対しては、冒頭申し上げたとおり、訴求力のある、ある意味伝わる表題とするには、県民の生活に直結している言葉でシンプルに表現することが必要であると考えます。次期総合5か年計画の表題には、どのような観点から県民に訴求していかれるのでしょうか。阿部守一知事の御所見をお伺いいたします。  続きまして、観点を学びというものに変えて質問を続けます。  大人も学ぶ社会を目指す状況は、現行の5か年計画において重要であると理解はしていますし、計画策定当時を思い返してみても、社会全体が学ぶということについて貪欲であったと記憶しています。  私も、本会議の中で、リカレント教育について取り上げてまいりましたし、直近では、昨日の丸茂議員をはじめ、リスキリングについて多くの議員の方が取り上げられているように、大人も学んでいくのだという観点が重要視されていくことは確かであると思っています。  現在の状況は、一つの仕事に就き、勤める上で、なかなか収入が増えない、そういった状況の方も多くいらっしゃる中で、自らのスキルをして副収入を得るべく、副業を行うことが当たり前となる状況は整いつつあります。別の観点では、自ら起業して、雇用や納税の向上につながる施策の展開の起爆剤にもなるものと注目されています。そのためには、リスキリングが重要になるのではないかと考えておりますが、現行の総合5か年計画が改定される今、より強く推進するべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。  デジタルデバイス操作の不慣れな方や、生活、特にキャッシュレスなど財産に関係するようなことに消極的になってしまう方もいらっしゃる中で、今回の補正予算案にある信州プレミアム食事券の電子チケットについて明確に示されたことについては評価に値することと捉えています。  しかし、新たに電子チケットの使い方を学んだ方やデジタル対応にようやく踏み出せた方であっても、操作が複雑では拡大が見込めないことを考えると、誰にでも簡単に利用できるようにする必要があります。とりわけ高齢者などにはどのような対策を検討されているのでしょうか。
     電子決済の普及は、利用者と事業者の双方の理解が進まなければ拡大していきません。例えば、現金にこにこ払いをモットーとする事業者もいる中、事業者に対して電子決済を導入してもらう、すなわち決済方法を学んでいただく必要があり、それに対しては一定のハードルもあると考えます。事業者への電子決済の普及に対してはどのように取り組んでいくのでしょうか。ここまで3点、産業労働部長にお伺いいたします。  デジタル化について、私はとにかくいろいろなものを持ち歩きたくなかった、そういうふうに生活していたために、意外とすんなり溶け込むことができましたが、マイナンバーカードについては多少の疑問もあります。  このマイナンバーカードというものがデジタル化の鍵であることは確かなのでしょうけれども、アナログ的といいますか、プラスチック製のカードを持つことには疑問を持ちます。既にマイナンバーというものは割り振ってあるのですから、カードに様々な機能を搭載するのではなく、スマホのような汎用性の高いもので十分適用が可能であるのに、なぜカードの取得にこだわるのか。そのようなささいな疑問であっても、個人情報が関係するため慎重となってしまうことは理解がある程度できます。  勘違いされてはいけませんのではっきり申し上げますが、私はマイナンバーカード推進派であります。しかし、デジタル田園都市国家構想交付金については賛否が割れていることも事実でありますし、政府としては、今年度中に全国民が取得することを目標に掲げていますが、達成が可能であるのかは定かではありません。  デジタル田園都市国家構想交付金について、交付金の申請条件として、カードの交付率が全国平均以上、かつ全住民への交付を目標と掲げていることとされる方向で検討が進められる内容を聞きますが、現在の本県の交付率から見て、交付金を申請することは可能なのでしょうか。また、普及促進を図るために県としてはどのようなことを考えているのでしょうか。市町村の取組との連携状況を併せて、ここまで2点、企画振興部長にお伺いいたします。  ここから、あくまでも提案なのですが、やはりマイナンバーカードの普及に対しては何らかの金銭的インセンティブがなければカード取得に踏み出すことはできないことを考えると、やはり、現状ポイント付与というものが最大の武器になるのではと考えています。  長野県独自のポイント付与についてお伺いしようとしましたが、今の段階で答えがないという状況では質問になりませんので、提案として取っていただきたいと思います。もし長野県独自のポイント付与が可能であったならば、これこそが以前本会議でも取り上げましたデジタル地域通貨の長野県版となるのではと、先進事例とともに可能性について考察したのですが、広域的な施策を行う県としては、よい点と悪い点が混在していることに気がつきます。  デジタル地域通貨というものは、その適用範囲を限りなく小さくしたほうが地域性を発揮することができ、地域内循環には適しています。一方、広範囲にしてしまうと、適用可能が広がり過ぎてしまうがゆえに、地域性が損なわれ、目的が不明瞭になってしまいます。可能性が未知数であるがゆえに手を出しづらいものではありますが、全国では先進事例も始まっていることを考えると、注視していかなければならないことなのかもしれません。  そのように考察したことを前提にお伺いいたしますが、今回の知事選において、阿部知事の公約にはデジタル地域通貨の発行支援を検討するとありますが、産業労働部長としてはどのようなことを想定しているのでしょうか。お示しいただきます。  先ほど申し上げましたマイナンバーカードの取得のように、デジタル化を進める政策の中、これは本当にデジタル化なのかと思わされる事例があります。  ふるさと納税について申し上げますが、まずふるさと納税を行った。その納税後に確定申告をしなくても寄附金控除が受けられるワンストップ特例制度ということについて伺うと、納税をした自治体からまず納税者に提出用の書類が入った封筒が届きます。中に入っているA4の用紙を折り畳み、封筒の形に整え、返信用のものとしてマイナンバーカードをコピーしたものを貼り付けて送り返す。そのことによって利用者はこの制度の適用となるのですが、感じていただけましたでしょうか。極めてアナログです。せっかく発行されたマイナンバーカードをまずコピーします。しかも裏表。加えて、のりなどで貼り付けて折り紙をしてつくった封筒に入れて投函します。入り口はスマホ等が増えているのでデジタルで行われていることに対して、出口は極めてアナログであったものが、先月ですけれども、改善されたケースもあるようです。その周知や、今後改善される方策などがありましたらお示しください。  また、県がふるさと納税に委託しているふるさとチョイスなどの利用料は一般に公開していない内容をお伺いしたのですが、寄附者にとっては、自分が行った寄附のうち幾らが事業に使われているのか重要視する方も多くいると思います。寄附という崇高な行いであるがゆえに透明性が求められると思うのですが、どう担保していくのか。ここまで2点を総務部長にお伺いいたします。  内容に関連性が少し薄くなってしまいますが、デジタル化の流れで、他の自治体の取組として、道路の補修箇所について、住民がスマホで撮影して行政に連絡するシステムを導入している自治体があることを聞きました。今回も議案で多くの案件が記載されておりますが、道路の修繕などには多くの人と予算が必要となります。より早く察知する方法として本県においても導入を検討してみたらいかがでしょうか。こちらは建設部長にお伺いいたします。  デジタル化の質問を組み立てていて、ここから先は少し意地の悪い質問になってしまいますが、知事にお伺いいたします。  先日、議員の皆様のお手元に、阿部知事から、4期目の就任挨拶の挨拶状が入った封筒が届いたと思います。デジタル化を進める長野県にあって、知事からはがきのようなものが届いて、おっと思うわけです。これについて特段いけないと言っているわけではないのですけれども、例えばもしこの挨拶状が電子メールで届いたとしたらどう思われるだろうと考えてみました。恐らく失礼だと取られることもあるのかなと考えると、ふびんであると思ったものであります。  このように、一方ではデジタル化が求められる中、社会には依然としてアナログなものが多く存在しています。社会のデジタル化は急務であるとは思いますが、どのような観点で取り組んでいかれるのか。お示しください。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)私には5点お尋ねいただきました。順次お答えいたします。  まず、総合5か年計画に関して、学びと自治の力は政策の推進エンジンとしてどのように機能したのかという御質問です。  かつて教育県と呼ばれた長野県には、各地域の公民館活動に表れているとおり、学びの精神が今なお息づいており、中央に依存しない自主自立の県民性が脈々と受け継がれていると考えております。  こうした学びの風土と県民性を最大限に発揮して、県組織と様々な主体とが連携協働し、互いに学び、おのおのの役割を果たしながら地域の課題を解決していく姿勢を学びと自治の力を推進エンジンとした政策の展開と表現したところです。  これまでに、生涯学習の指導者養成など地域を支える人材の育成が進むとともに、信州環境カレッジやシニア大学などの学びの場が多く創出されてきたほか、住民グループなどによる自主的な地域の拠点づくりなどが進み、県民をはじめ、企業や団体、大学など様々な主体と連携協働した取組が進んでおります。  このように、学びの取組や自治の取組が着実に進む中にあって、それらの力が相まって、信州地域デザインセンターや大学、市町村、住民などで情報を交換し合い、中心市街地の整備や駅周辺の公共空間の利活用によるまちづくりが推進されたほか、行政や観光関係者など様々な人材を御嶽山火山マイスターとして認定し、御嶽山を中心とする文化や火山との共生について後世に伝えていく取組が始まったことや、長野市信州新町地区では、水防対策会と県、市町村、電力会社などが協定を締結し、既存ダムを活用した洪水調整などの減災対策が進んでいるなどの成果が表れてきております。  このように、学びと自治の力は、現行計画の推進エンジンとして一定の機能を果たしてきたものと考えております。  次に、現行計画のチャレンジプロジェクトの振り返りについてお答えします。  現行計画の六つのチャレンジプロジェクトは、おおむね2030年の長野県のあるべき姿や将来像を想定し、今後の5年間の取組に制約されることなく、今何をすべきかを考え、あえて難しい課題に取り組んでいこうと、構想レベルのものの企画立案と実行に取り組んできたものです。また、庁内にプロジェクトチームを組成し、県組織を学ぶ組織へ転換することを意図しながら推進してきました。  こうした中で、まちづくりに関するプロジェクトでは、信州地域デザインセンターの開設が実現するとともに、産業振興に関するプロジェクトの推進により長野県産業振興機構が発足したほか、学びのプロジェクトにより、デジとしょ信州、市町村と県による協働電子図書館の開設が実現するなど具体的な成果を上げることができたところです。  しかしながら、プロジェクトを進めるに当たり、東日本台風災害や新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、進捗に困難を来したほか、計画策定段階では構想レベルであったため具体的な事業の構築にまで至らなかったものがあったことや、プロジェクトチームと既存組織との関係性が曖昧だったため企画立案や実行に組織力が十分生かせなかったケースがあったなど、幾つかの課題もあったと考えております。  なお、デジタル化につきましては、そのものをプロジェクトとしてはおりませんが、政策遂行手段として、学びや医療、介護のプロジェクトなどでデジタルを活用した事業も行ってきたところです。こうしたチャレンジプロジェクトの経験や課題を生かして次期総合5か年計画の検討を進めてまいります。  次に、計画の在り方についてお答えします。  現在策定を進めている次期総合5か年計画については、将来像のターゲットイヤーをおおむね2035年に設定し、目指す姿を描出した上で、今後5年間に取り組むべき施策について検討しております。  技術革新や国際情勢など変化が激しく予測が立てづらい時代であっても、具体的な目標を定めて政策をパッケージ化し、腰を据えて施策を推進していくことには意義があるものと考えております。  一方で、議員の御意見のとおり、変化が激しい時代にあっては、時宜にかなった柔軟な施策の実施が必要であることも確かであると考えております。こうしたことから、今後も引き続き計画で定めた施策を推進するだけではなく、その時々の社会経済情勢の変化や新たな課題ニーズに対応して、毎年度新たな事業の企画立案、予算化や事業の見直しについても併せて行ってまいります。  続きまして、デジタル社会の実現に関するお尋ねのうち、デジタル田園都市国家構想交付金についてお答えします。  先般、来年度から再編されるデジタル田園都市国家構想交付金に関する国の説明会におきまして、マイナンバーカードの普及状況を交付金による支援に際して評価することを検討するという考え方が示されました。  本年8月末現在の本県のマイナンバーカードの交付率は、全国平均が47.4%となっている中、41.2%となっております。この交付金は、マイナンバーカードの交付率の考慮の仕方の観点からは、全国平均以上の交付率等を申請条件とするもの、採択に当たって交付率を勘案するもの、申請や採択で交付率を特段考慮しないものの3ケースに分類される方向で検討が進められていると承知しております。  このうち、交付率を申請条件とするケースは、ビッグデータなどオープンなデータ連携基盤を活用し、かつ複数サービスを実装するものや、自動運転など未来技術を活用するものなど、そもそも申請条件が相当厳しいものに限られているところであります。したがいまして、それら以外の既に確立されたモデルを活用した実装の取組やテレワークの取組のほか、従来の地方創生推進交付金や地方創生拠点整備交付金に相当するものは、申請に当たって制約を受けるものではないと認識しております。  県としましては、引き続き国の検討状況を注視するとともに、マイナンバーカードの普及を促進することによりデジタル田園都市国家構想交付金を最大限確保できるよう努力してまいりたいと考えております。  最後に、マイナンバーカードをさらに普及促進するための県の考えについてお答えいたします。  県では、マイナンバーカードの普及促進やマイナポイント取得支援のため、市町村と連携しながら、7月から9月末までに県内各地の商業施設など34か所で出張窓口を臨時に開設してまいりました。また、マイナンバーカード普及促進会議を定期的に開催し、市町村が取り組んでおります企業、公民館、ワクチン接種会場等での出張申請受付、取得を希望される個人宅への訪問申請受付、専任職員の確保による交付体制の強化、公用車の広報ラッピング、商品券の配付などの取組事例を共有し、横展開を図ってまいりました。  今般、マイナポイント付与の対象となるマイナンバーカードの申請期限が9月末から12月末に延長されたことを踏まえ、改めて市町村との連携を一層強化し、カードの健康保険証や運転免許証との一体化をはじめとした利便性の向上のさらなる周知を図りながらカードの普及促進に集中的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)私には3点御質問をいただきました。  まず、学ぶ県組織への転換を確実に実行されているかという御質問でございます。  県や県民を取り巻く環境が急速に変化する中にあって、県組織が変化に常に適応し、県民の皆様に最高品質の行政サービスを提供し続けていくことは大変重要でございます。  職員については、一人一人が地域に飛び出してその変化を敏感に感じ取り、学びと自治の実践者として新たな知識や技術を主体的に学び続けること、組織については、職員の能力を最大限に生かす機能的な組織として学ぶ県組織への転換が必要であるというふうに認識しております。  これまでの具体的な取組としまして、職員については、職員の地域活動への参加を促すため、「地域に飛び出せ!社会貢献職員応援制度」を平成30年に創設し、これまで、生活困窮世帯の小中学生への学習支援や通訳ガイドなどのほか、今年度からは農作業補助などに運用の幅を広げ、現在31名が活動中でございます。  また、資格取得や大学院就学など職員の主体的な学びを支援する自己啓発支援制度を令和元年に創設しまして、基本情報技術者や宅地建物取引士、信州大学大学院に就学するなど利用されているところでございます。  さらに、職員の多様な経験による視野の広がりや民間企業での柔軟な発想を培うことを期待し、国、市町村、民間企業等との人事交流を毎年度実施しておりまして、今年度は県からの派遣90名、県への派遣74名、計164名の交流を行っているところでございます。  それから、組織としまして、職員が持つ知見や専門性を生かし、勤務時間の一部、20%以内を他所属の業務の推進に充てることができる創造的活動支援制度、いわゆる20%ルールを今年度から施行しておりまして、現在20名の職員が活動しております。  また、複雑化、多様化する県民ニーズに的確に対応するための組織見直しや総合調整機能の強化を目指した次長制の導入など、さらに、県民起点を徹底する組織風土の形成に向けて、各部局にコンプライアンス委員会を設置し、内部統制制度の本格実施を令和2年から始めるなどの取組を進めてきたところでございます。  これらの取組に加えまして、今年度から職員の主体的なキャリア形成を組織として支援するキャリアデザイン制度の導入などの取組を始めましたが、職員への普及や行動変革、また組織としての取組はまだまだ十分ではないというふうに認識しておりまして、今年度策定を予定しております新たな行政・財政改革方針にもこうした考えを反映し、取組をさらに進めていきたいというふうに考えております。  次に、ふるさと納税のワンストップ特例制度に係るデジタル化についての御質問でございます。  ふるさと納税のワンストップ特例制度は、寄附者がふるさと納税をした場合、同一年における寄附先が5自治体以内である等の条件を満たせば、確定申告によらず、住民税の寄附金控除が受けられるツールであり、寄附者の利便性の向上に寄与しているものと考えております。  現在、この特例制度を適用するには、寄附者が紙ベースでの申請書とマイナンバーカードの写しなどを県に郵送し、県が内容を審査した上で税控除手続を行う市町村にデータを送付するなど、議員御指摘のとおり、アナログ的な仕組みになっているというふうに認識しております。  一部の事業者でスマートフォンのアプリが開発され、個別に契約して電子化を始めた自治体もあるというふうに承知しております。この手続を電子化できれば、県はもとより寄附者の利便性が一層高まると考えております。  また、本県と契約している一部の大手ポータルサイト事業者でも、マイナンバーカード所持者のみが利用できるサービスが9月26日に開始され、このサイトの利用者は電子手続が可能となったところでございます。このサービスは追加されたばかりでございまして、まだ認知度が低い状況でございますので、県においてもホームページ等で周知を図ってまいりたいと考えております。  一方で、個別の自治体による導入には追加の経費がかかっており、本県でサービスを始めたポータルサイト事業者も、現在は無料でございますが、今後追加の委託料が発生する見込みということでございます。こうしたアナログ的な仕組みは、国の制度、様式によるものでございます。全国共通の仕組みでございますので、私どもでの導入の検討はもとより、国によるシステム化も要望してまいりたいというふうに考えております。  3点目、ふるさと信州寄付金の透明性の確保についてでございますが、クラウドファンディング型による寄附や、教育、人づくり、自然、環境保全など県の重点テーマとして設定したもの、また、寄附者が個別に使途を希望したものについては、頂いた寄附の全額を事業費として活用しております。  一方で、お礼の品や委託料等に係る経費に対し、令和3年度においては寄附金全体の約43%を費やしており、これらの経費を一般財源や使途を県に一任された寄附の一部から支出しているところでございます。  これらに係る経費等はこれまで公表しておりませんが、寄附金に関しての透明性を高めるということは大変重要というふうに認識しておりますので、今後ホームページ等で公表するなど対応してまいりたいと考えております。  また、制度の運用の在り方、寄附の受入れにかかる経費に関しましては一部に課題があるというふうに認識しておりますので、これらの課題について整理、検討しているところでございます。  いずれにしましても、寄附をいただいた方への思いにしっかりとお応えできるように今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、次期総合5か年計画の表題について、どのような観点から県民に訴求していくのかという御質問であります。  これは、今検討中で、私自身も日々どうするか悩んでいるという状況であります。新しい総合計画は、まさにこれから5年間の県政運営の大きな指針となるわけでありますので、内容はもとより、今回、共創型にしていきたいと思いますので、県民の皆様方と理念をしっかり共有して進められるようにしていかなければいけないというふうに考えております。何が今回の総合計画における重要なキーワードになるのか。また、何を県民の皆様方と共有して実現に向けて取り組んでいくのか。そして、そうしたものを大きく包み込む重要な理念を何にするのかということについてはしっかり考えなければいけないと思っております。  県議会の皆様からも御意見を頂戴しておりますし、総合計画審議会でも御議論をいただいております。また、私も今年は選挙の年でありましたので、県民の皆様方に公約として大きな方向性を訴えさせていただきましたので、そうしたことを踏まえながら、県民の皆様方にしっかり訴求できるように、表題のみならず、分かりやすい基本目標、計画となるように取り組んでいきたいというふうに考えております。  続きまして、社会のデジタル化にどういう観点で取り組んでいくのかという御質問であります。  御質問では挨拶状を引用いただいたわけですが、デジタル化を進めていく上で、常に前例を疑いながら取り組まなければいけないということを改めて考えながらお話を伺いました。挨拶状は残していますが、実は年賀状については既にもう廃止しております。デジタル化とはちょっと違いますけれども、経費節減、形式的な挨拶はやめようということで、年賀状をやめさせていただいていますので、常に今後どうあるべきかを考えながら県政に取り組んでいきたいと思います。  そうした中、デジタル社会をつくっていくのが重要だというのは、世の中のトップランナーになっていくということではなく、むしろ最低限何とかくっついていかなければいけないということがまずあると思います。世の中が大きく動いている中で、我々行政の行動や発想、あるいは社会が変わっていかなければ、社会から、特に世界からどんどん取り残されてしまうというふうに思っておりますので、いやが応でもデジタル化の取組についてしっかり食いついていかなければいけないと思います。その上で、長野県として、暮らしの利便性の向上や産業競争力の強化へとつなげていかなければいけないというふうに考えています。  デジタル社会が実現していくということは、ある意味これまでのゲームのルールが全く変わっていくということにもつながるものだというふうに思います。これまでは、例えば中山間地域は非常に条件不利で大変だということでありましたけれども、デジタルを使えば、時間的、空間的な距離を乗り越えることが可能となってまいります。  また、デジタル技術は、大企業だけではなく、例えば非常に安価なソフト等を使えば、実は中小企業も飛躍的に世界の中で存在感を上げることにつなげられ得るものだというふうに思っています。  漫然とデジタル化を進めるということだけではなく、デジタル社会を見据えて、ゲームチェンジが行われることをどう生かしていくのかという視点をしっかり持ちながら県政を進めていかなければいけないというふうに思います。  先ほどプレミアム食事券の電子チケットに言及いただいたわけでありますけれども、あれも中では少し議論がありました。しかしながら、事業者の利便性の向上を考えれば電子化した方がいいということで判断させていただいたところであります。  その一方で、例えば福祉的な政策を考えるときには、誰一人取り残さない、公平性、誰でも利用できるというような観点も重要になってきますので、そうしたことも念頭に置きながら、デジタル技術の活用を積極的に進めていきたいというふうに考えております。  現在、総合5か年計画を検討中でありますので、今申し上げたような観点をしっかり念頭に置きながらデジタル社会にしっかり向き合ってまいりたいと考えております。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)4点御質問をいただきました。  初めに、副業時代と言われる中で、次期総合5か年計画においてリスキリングをより強く推進すべきとのお尋ねでございます。  副業は、所得の向上のみならず、成長分野への労働移動、労働者のキャリアアップなど様々な面でメリットがあるものと認識しております。  リスキリング教育の推進につきましては、昨日丸茂議員の御質問にもお答えしたところでございますけれども、海外に目を向けますと、例えばアメリカでは、社会人が新しいキャリアに挑戦するためリカレント教育への自己投資がその後のキャリアにしっかりと反映されるサイクルが形成されていますし、シンガポールでは、2015年からキャリアサポート制度、スキルズフューチャーを開始、約30に及ぶ職業訓練プログラムが実施されております。  次期総合5か年計画の策定に当たりましては、こうした諸外国における先進的な取組事例や国の人への投資施策の動向、特に、昨日リスキリングに対する公的支援を5年間で1兆円のパッケージに拡充するとお聞きしたところですが、こうした国の取組なども踏まえながらしっかりと施策に織り込んでまいりたいと考えております。  続いて、信州プレミアム食事券電子チケットに関連して、扱いが不慣れな方への対応についてのお尋ねでございます。  これまで実施した国のGo To イートや県のプレミアム食事券は紙チケットでしたので、対象の飲食店では、利用済チケットの取りまとめと事務局への送付の負担が大きかったことに加え、現金化までに時間を要したことから、改善の要望が寄せられておりました。  今回は、これらの要望を踏まえ、飲食店の負担軽減や早期現金化のほか、消費者のキャッシュレス化の普及を促進するため、電子チケットでの実施とさせていただいたところでございます。  紙チケットは郵便局で平日の日中でなければ購入できませんでしたが、電子チケットによりいつでもどこでも購入が可能となりますので、県民はもとより観光で来られる県外の方にも御利用いただけると考えております。  スマートフォンに不慣れな方への対応につきましては、より分かりやすいマニュアルや説明動画により操作手順を御案内するほか、商業施設等身近な場所で丁寧なサポートをしていく予定としております。また、地域振興局はもとより、商工団体や市町村にも御協力いただき、より多くの方に御利用いただけるよう取り組んでまいります。  次に、事業者への電子決済普及の取組についてでございます。  これまで、県では、令和元年度からスタートした国の統一QR「JPQR」普及事業やキャッシュレス・消費者還元事業などにより、中小店舗でのキャッシュレス決済の導入を支援してまいりました。また、電子決済により、売上データから消費動向等を分析し、マーケティングへの利活用もできるため、経営支援機関である産業振興機構においても導入をサポートしているところでございます。  こうした中、ペイペイが本年4月に公表したデータを基に県が独自に推計した結果では、県内のサービス業の約8割を超える店舗で電子決済が利用できる状況にあると思われます。他方、顧客からの要望がないなどの理由から導入しない事業者もいらっしゃいますので、今回の信州プレミアム食事券発行事業の実施に合わせ、電子決済へのメリットを知っていただくことで導入のきっかけにしていただければと考えております。より多くの事業所で利用できることがインバウンド需要などを取り込むチャンスともなりますので、引き続き事業者の声を聞きながら一層の普及に努めてまいります。  最後に、デジタル地域通貨の発行支援についてでございます。  デジタル地域通貨の導入は、市町村など地域内での消費を促すと同時に、資金の域外流出を抑制する上で有効なツールになるものと認識しております。  全国的には、岐阜県高山市、飛騨市、白川村で導入されている「さるぼぼコイン」などが成功事例として紹介されており、県内でも、駒ヶ根市の「つれてってカード」や小海町の「こうみP-ポイントカード」、上田市の「もん」など、類似の仕組みを含めた導入事例がございます。  地域通貨が有効に機能し、持続可能な地域経済効果をもたらすためには、利用者へのインセンティブ付与の仕組みなどの工夫が求められるとともに、各地域における主体的、意欲的な取組が不可欠であることから、県としてはまずは市町村の意向や要望などをお聞きしながら制度導入に向けた支援の在り方を検討してまいります。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)住民による道路情報の連絡システムについてのお尋ねです。
     県道の補修箇所等に関する情報は、現在、各建設事務所が行う道路パトロールのほか、県民の皆様から直接メールでいただく県民ホットラインや道路の異常を通報していただくために県が任命した信州ロード観察隊などにより収集しているところです。  議員御指摘の連絡システムは、現時点で都道府県では8府県が導入していると把握しています。この連絡システムには、補修箇所などの写真や位置情報が正確かつスピーディーに提供されるため、迅速な対応が可能となるメリットが想定される一方、導入している府県からは、県管理道路以外の情報に関する市町村との連携や大量に寄せられる情報への対応などの課題もあると聞いております。  道路の管理状況を把握する手段の一つとして御提案の連絡システムも有効であると考えられますので、他県での活用状況等を参考にしながら、現在の取組を改善し、安全、安心な道路の維持管理に努めてまいります。       〔10番花岡賢一君登壇〕 ◆10番(花岡賢一 君)お答えいただきましたけれども、学ぶ組織に変わっていくという中で、これも取り上げたことがあるのですが、せっかくいいことをやっても、周知、広報というものが弱ければ、結局何をやっているのだと言われかねないことがあります。職員の皆様一人一人がある意味宣伝マンであるときも必要かもしれませんし、そのやり方についてきちんとしたコンプライアンスが働いてこなければいけないことなのかもしれません。その点も含めて御考慮いただけますようお願いさせていただきます。  デジタル電子チケットについて、私とすれば、当然批判を受ける可能性のある事業だと思います。使えない人はどうするのだということを考えると、なかなか踏み切れないところもあるのかもしれません。  実は、先週末、デジタル電子チケットを導入することを県から相談されたと思われる方とお話をする機会がありまして、その人は、意外とこれは副産物があるのだよという言い方をしていました。操作ができない方がお子さんやお孫さんから食事に行こうよと誘われたときに、こういった方法があるから一緒にやらないかと。いろいろな政策というものは、踏み込んだことをやると思わぬ副産物を生むこともあります。私とすれば応援したいと思いますので、がっちりやっていただきたいと思っています。  貧困の連鎖ということを考えた中で、親ガチャというような言葉がはやってしまう原因は社会にあると思っています。お金は生まれた家次第、そういった考え方では、希望を持って未来を開く次世代も育ちづらいのかもしれません。しかし、親が学び、貧困から脱することができたなら、連鎖を自分の代で断ち切ることができたなら、努力は惜しまないのかもしれません。そんな大人も学ぶ社会、その実現に向かって共に創造していけたら最高と常に思いを巡らせています。  最後の質問となりますが、佐久地域振興局で行われた拡大版地域戦略会議にオブザーバーとして参加したときの話です。ウェブ会議開催に当たってリハーサルを行っていないはずがないと思いますが、当日、会場と会場を結ぶ音声がわんわんわんとこだまのようになってしまうトラブルがありました。開始早々双方の会話が聞きづらく、お世辞にも会議にはなっていませんでした。  参加していらっしゃった多忙を極める佐久地域の市町村長さんたちの怒号の中、佐久地域振興局のスタッフは、マイクの角度やスピーカーのボリュームなど様々な対応に追い詰められながらも行い、最後まで仕上げることに成功しています。画一的なマニュアルは必要ではありますが、現場を乗り切る適応力など現地の判断が大変重要であったすばらしい光景を私は目の当たりにしました。  地域振興局については、私たちの代表もお伺いいたしましたが、私からは特色ある施策として始まった地域振興推進費についてお伺いいたします。  各局長にある程度裁量を認めた自由な予算として導入されてから5年が経過されていますが、これまでの取組をどのように評価していますでしょうか。また、今後はさらに地域振興局の独自性を発揮した使い方をしてほしいと思うのですが、企画振興部長の見解をお伺いします。  ウェブ会議の例を取り上げて申し上げましたが、知事が示したスタートダッシュ・アクション2022においては、全県の市町村を訪問し、対話を行う内容が挙げられています。数多く開催してきたオンライン会議がありますが、ここで、デジタルではなくあえて対面にこだわったその理由を知事にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)地域振興推進費の評価と今後の使い方についてお答えします。  地域振興推進費は、地域振興局長のリーダーシップの下、地域課題の解決や地域の活性化に取り組むための経費として創設され、これまで、例えば佐久地域では、美しい星空や自然をPRするためのラッピングトレインの運行、南信州地域では、放置竹林の減少を促進するため、メンマ料理のレシピ集の発行や竹材の利活用を促進するためのワークショップ開催、複数の地域振興局が連携して、信州まつもと空港を拠点とした周遊を促進するためのドライブ観光パスポート事業など、地域の強みや特性を生かした様々な事業に活用されてきました。  地域振興推進費を活用することによって、地域振興局からは、職員の意識向上やスキルアップにつながっている。市町村や関係団体との連携が図られ、通常業務においても協力を得やすくなっている。地域振興推進費事業をきっかけとして市町村や関係団体が取組を始めるきっかけとなったといった声が届いており、一定の成果が上がっているものと認識しております。  一方、地域課題は中長期的に対応すべきものも多く、複数年にわたって実施されている事業や普及啓発事業など単年度では成果が見えにくい事業も散見されております。今後は、地域の声の丁寧な把握に一層努めながら、これまで以上に地域の強みや特性を生かした特色ある事業が実施できるよう地域振興局と共に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には県民対話集会を対面で行う理由という御質問であります。  デジタル、アナログと御質問をいただいたわけでありますけれども、もちろんリモートでもやろうと思えば可能だというふうに思います。しかしながら、今回あえて対話集会というふうに銘打っております。やはり相手方と目と目を合わせて、オンラインだと目線が合っているのか合っていないのかよく分かりません。また、場の雰囲気や熱意など、やはり人間としてはそうしたものを五感で感じ取るということも非常に重要だというふうに思っております。また、私が地域に出かけていくことによって、地域の変化や状況というものも肌で感じることができるというふうに思っております。そういう意味で、対面で行うということが重要だと思っております。  その一方で、デジタル化が進む中で、なぜあえてこだわるのかという御質問でありますが、むしろ逆説的でありまして、デジタル化が進むからこそ対面で行うという側面もあります。今回、私の選挙期間中、公務も行ったわけでありますけれども、ほとんど県庁には戻ってきておりません。合同庁舎や、時には地域のコワーキングスペースを利用させていただいて本庁とオンラインでつないで仕事をさせていただいております。こうしたことはコロナ禍前は想定もしなかったわけであります。今回、私が県庁にいない時間が長くなるわけでありますけれども、むしろ出かけたところからでもオンラインで県庁と結んで必要な対応ができるようになってきているということも全市町村を回ろうと決断した背景であります。  先ほど申し上げたように、やはり少し発想を逆転して、ここにいてもオンラインでできるということももちろん重要でありますが、県内のほかの地域にいても県庁と結んで仕事ができると、こうしたこともしっかり活用していきたいと考えております。  以上です。 ○議長(丸山栄一 君)この際、午後1時20分まで休憩いたします。         午後0時11分休憩          ──────────────────         午後1時20分開議 ○副議長(髙島陽子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  依田明善議員。       〔35番依田明善君登壇〕 ◆35番(依田明善 君)自民党県議団の依田明善です。通告に従いまして質問をさせていただきます。  まず初めに、中小企業等の支援についてであります。  ここ数年の間、多くの人々が不安感や危機感、あるいは閉塞感などを複合的に感じるようになっているのではないでしょうか。その原因となっているのは、例えば、気候変動による災害の頻発や新型コロナ感染症によるパンデミック、あるいはロシアによるウクライナ侵攻や中国による覇権主義の台頭であったりします。  確かに、これらの事象は、身の危険を感じるような非常に強烈なマイナス要因であり、不安要素ではあります。ところが、これらの不安要素は、世の中をよい方向に変えるきっかけにもなり得る、そんな側面もあると思うわけであります。  例えば、気候変動や異常気象につきましては、CO2などの増加が原因とされ、脱炭素社会の構築に世界が動いております。特に、日本はほかの先進国よりも真面目に取り組もうとしております。また、新型コロナ感染症などの疫病に対しては、日本国内でのワクチン開発や新薬開発の推進、あるいは公衆衛生の重要性が見直されてきております。  そして、ロシアの暴挙や北朝鮮のミサイル発射、香港問題、台湾問題、尖閣諸島の危機などにおいては、多くの日本人が国防という観点で目を覚まし、安全保障の見直しが鋭意進んでおります。あるいはまた、中国の経済活動の暴走については、サプライチェーンの見直しを急がせる結果となっております。そう考えますと、けがの功名ではありませんが、ピンチをチャンスに変えていく発想が今こそ必要ではないかと思うわけであります。  そこで、今回はこのサプライチェーンに焦点を当てて質問させていただきたいと思います。  サプライチェーンマネジメントという言葉は、このところ多くの人々が口にするわけですが、その意味は、御存じのとおり、商品の原材料の調達、商品の設計、製造、在庫管理、流通、販売などによって消費者に商品を届けるまでの一連の流れのことを言います。  そして、日本企業の場合は、これらの多くを中国などに依存してきたわけですが、人件費などの経費も徐々に高騰し、メリットも薄くなってまいりました。また、知的財産権も危ぶまれ、覇権主義的な行為が目に余る中で、日本企業の行動も大きく変わろうとしております。  特に、日本の製造業の国内回帰や、日本国内での生産を強化する動きというのは、近年活発になってきております。例えば、セイコーエプソンは安曇野市にある豊科事業所に総額40億円ほどの投資を行っております。今までは主に中国でロボットの生産を行っておりましたが、米中摩擦などを回避するためにこのような大転換を図っております。また、京セラは総額625億円をかけて鹿児島県に半導体パッケージなどを生産する工場を新設しております。そのほかにも、SUBARU、TDK、アイリスオーヤマなど多くの企業が動きを活発化させております。  県内を見ても、サプライチェーン改革を重要な課題と捉え、国内回帰や生産の強化を図る企業も増えてきていると思います。今後は、完全に国内に腰を据えて巻き返しを図る企業もあると思いますが、中にはグローバル競争から逃れることもできずに立ち往生している企業もあると思います。  また、一口に国内回帰、県内回帰といっても、簡単な話ではありません。立ち塞がる課題は多いと思いますが、その現状をどのように分析されておられるのか。産業労働部長にお伺いいたします。  次に、中小企業融資制度について御質問いたします。  コロナ禍によって業績が悪化した中小企業の中には、無利子、無担保のいわゆるゼロゼロ融資を受けた企業も多いわけです。現在も、県では中小企業融資制度の拡充を図っておりますが、返済期限を迎えている中小企業の中には、売上げが回復せず、返済のめどが立っていない事業所もあります。  現在、県内の中小企業等の返済負担についてはどの程度の深刻さを抱えているのか。融資制度を活用した企業の中には、まだ余力を残し、アフターコロナに望みをつないでいるところもあれば、逆のパターンもあると思います。貸した側とすれば、その辺の見極めも重要になってくると思いますが、今後どのような考え方で中小企業や小規模事業者等を支援していかれるのか。産業労働部長の御見解をお伺いいたします。  次に、エネルギーの需給バランスについて御質問いたします。  企業にとってエネルギーコストの問題は重要です。特に、今年の冬は電力不足が深刻な状態に陥ることが予測されております。電気は大量に蓄電することができません。だからこそ需給バランスが大切です。電気を必要としているその瞬間に同じ量の電力が供給される、いわゆる同時同量が実現できていれば何ら問題はありません。  しかし、それが少しでも滞りますと、即座に電力は逼迫し、様々な弊害が発生いたします。例えば、病院で人工透析を行うには大量の電気と水を必要としています。つまり、高度医療というものも電力の安定供給があるからこそ成り立つわけであります。  明治時代から始まり、昭和初期の頃は停電することもしばしばありました。しかし、そのことにより住民らが不平不満でパニックになったという話は聞いたことがありません。家の中に電灯がともることのありがたさ、そういった感謝に包まれた古きよき時代だったわけであります。しかし、今やそんなことは許されません。文明国家を維持するということは、電力の安定供給を維持することでもあるわけです。  この電力需給のバランスを整えるために、政府は、原子力発電所や大規模な火力発電所を再稼働させる方針を立てております。加えて、再生可能エネルギーの普及も促進させております。日本政府は、脱炭素政策の目標として、温室効果ガスの排出量を2030年度までに2013年度比率で46%削減し、2050年にはカーボンニュートラル、つまり実質ゼロにするという極めて高い目標を掲げております。  また、長野県においては、再生可能エネルギー100%地域を目指し、自給率を上昇させるという大きな命題を掲げております。その結果、2015年の基準値を8.2%とした場合、2019年は10.5%と着実に増加しております。しかしながら、この数値は、再生可能エネルギー100%地域を目指すにはまだまだ努力を要するものであり、取組をさらに強化すべきだと思います。県として、現下の電力需給逼迫の状況を踏まえて、どのように再生可能エネルギーの拡大に取り組んでいくべきとお考えか。環境部長に御所見をお伺いいたします。  令和3年11月定例会の一般質問でも訴えさせていただきましたが、長野県では、標高の落差を生かした水力発電をさらに普及させていくことも重要だと思います。企業局では、ダムを生かした水力発電など新規電源開発に力を入れて取り組んでおられますが、過去の電力量などと比較する中で、現在までの成果と課題、今後の展望等を企業局長にお伺いいたします。  また、今般のエネルギー価格の高騰は企業経営に多大な影響を及ぼしていると考えられますが、県としてこの影響をどのように把握しているか。産業労働部長にお伺いいたします。  そして、中小企業者向けのエネルギーコスト削減促進事業として10億2,500万円ほどの予算をこのたび計上しておりますが、その事業効果をどのように見積もっているのか。産業労働部長の御見解をお伺いいたします。  最後に、長野県産業の将来像についてお伺いいたします。  冒頭でも申し上げたように、国内回帰、県内回帰を望む企業が増加傾向にあります。となれば、国の支援も加速度的に強化する必要があると思います。世界的なサプライチェーンの大改革、大転換が始まっているということは、県内の産業においても飛躍するチャンスがやってきたと言えます。  一方で、エネルギー価格の高騰が企業の経営や新たな投資に大きな負担となっていることも事実であります。県内回帰と生産強化を考えている企業が重要視しているコスト低減、あるいはカーボンニュートラルという目標については、県としても何らかの支援をしていくことが重要ではないでしょうか。そこで、国内回帰の好機を逃がさないためにも、企業のサプライチェーンの改革やGXに向けた支援など県としてどのような将来像を描いていくのか。知事の御所見をお伺いいたします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君)3点御質問をいただきました。  初めに、中小企業のサプライチェーンの改革と国内回帰状況、そして投資関係の分析ということでございます。  国では、サプライチェーンの分断リスクが大きい重要な製品、部素材等に関して、国内への生産拠点の回帰を促すため、令和2年度補正予算で国内投資促進事業費補助金を創設し、重点的な支援を実施しております。令和2年5月の第1次公募から本年5月の第3次公募分までに全国で439事業が採択され、うち長野県内では17社19事業、主に半導体製造装置、車載通信機器、EVモーター製造などの事業者が支援を受けているところでございます。  さらに、県独自の支援策である産業投資応援助成金において、県外からのサプライチェーンの強化を図る投資に対して助成率の加算措置をしてきたところであり、これまでに2件を支援しております。  県内の最近の設備投資の傾向を見ますと、直接的な国内回帰ではありませんが、米中貿易摩擦や円安の進行等を背景に、海外にも事業所を持つ企業が国内投資を選択する事例も見られます。  県の助成金における事業認定ベースの投資総額は、令和2年度が268億円余、令和3年度が340億円余、そして令和4年度は上期だけで629億円を超える規模となっており、製造機械や半導体関連部品、食品系を中心に投資意欲は高まっていると感じております。県といたしましては、引き続き県内投資を後押しするとともに、コロナ禍で進展したリモートワーク等の動きを踏まえ、本社機能、IT系企業の誘致にも取り組むなど、地域経済の再生、発展に資する戦略的な立地施策を進めてまいります。  次に、中小企業の返済負担、そして、中小企業や小規模事業者等への金融支援の考え方についてのお尋ねでございます。  民間調査会社の全国調査によりますと、コロナ関連融資に関して、約8割の企業が融資条件どおり全額返済できると回答しているものの、返済が遅れるおそれがあるなど約1割が今後の返済に不安を抱いております。県内金融機関に聞き取りを行った結果も同様の状況であり、今後、年末や年度末に向け、事業者への資金繰り支援が重要となってまいります。県では、既にゼロゼロ融資について貸付期間の延長など条件変更に柔軟に対応しているほか、新保証付融資全般を借り換えできる経営健全化支援資金(新型コロナ向け伴走支援型)をあっせんするなど、支援に努めているところでございます。  また、10月1日以降、セーフティネット保証4号を活用した中小企業に対しては、金融機関のモニタリングによる伴走型の経営支援を行ってまいります。今後とも、中小企業活性化協議会とも連携しながら個々の企業の状況に寄り添った支援に努めてまいります。  最後に、エネルギー価格高騰による企業経営への影響についてのお尋ねでございます。  県が4月に実施した原油・原材料価格高騰及び円安の経営に対する影響に関する調査では、9割の企業がマイナスの影響があるとしており、具体的な理由としては、7割の企業が仕入価格の高騰による利益減を、6割の企業が燃料代など固定費増加による利益減と回答しており、企業収益の圧迫による景気の下振れリスクなど依然として予断を許さない状況が続いています。  さらに、欧米各国で進む金融引締めによる世界経済の減速リスクも十分考慮に入れ、地域経済のダメージを最小限にとどめながらコロナ禍からの再生を図るべく、機動的、効果的な対策を講ずることが重要と考えております。  エネルギーコスト削減促進事業の効果の見込みにつきましては、これまで当助成金で採択された約100件の申請内容を分析したところ、1社当たりの年間コスト削減額は約36万円でしたので、予算総額10億円分の支援件数を580件と見込んで換算しますと、年間約2億円のコスト削減効果が見込まれるところでございます。また、当事業は、省エネ設備の導入のみならず、自社の二酸化炭素削減量を算出いただく仕組みとしたことで脱炭素化経営の足がかりとなることを期待しております。  以上でございます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)電力需給逼迫を踏まえて、どのように再生可能エネルギーの拡大に取り組んでいく考えかをお尋ねいただきました。  電力の供給力不足やエネルギー価格の高騰によりまして、再生可能エネルギーの生産拡大の必要性に対する認識が、脱炭素化のみならず、エネルギーの自立性を高める上でも広がっているものと考えております。  代表的な再エネであります太陽光発電は、2010年代に急激に増加し、国内の全発電電力量に占める割合は9.3%に達し、今や主要電源の一つとなっております。一方で、天候や時間帯に左右されるという課題があり、この夏においても、太陽光発電の出力が低下する夕方から夜にかけて需給逼迫が特に危惧されたところでございます。  こうしたことから、再エネの拡大に当たっては、本県が高いポテンシャルを有する太陽光のみに過度に依存するのではなく、ベースロード電源となり得る水力やバイオマス、地熱といった発電についても積極的に取り組むべきと考えております。  さらに、省エネ、再エネに加え、エネルギーを蓄え、需給のずれに対応する蓄エネが重要と考えており、既に屋根ソーラーと合わせて家庭用の蓄電池に対する補助等も行ってはおりますが、今後、国の電力政策や電力会社の取組、蓄電技術の開発などを踏まえ、対応してまいりたいと考えております。       〔公営企業管理者職務執行者・企業局長須藤俊一君登壇〕 ◎公営企業管理者職務執行者・企業局長(須藤俊一 君)企業局の水力発電開発の成果と課題、今後の展望等についてお答えをいたします。  企業局では、昨年3月に改定した長野県公営企業経営戦略に基づき、令和7年度までに、工事着手も含めて発電所を36か所にする目標を掲げ、新規電源開発に積極的に取り組んでいるところです。  水力発電の開発には、採算可能性の判断に必要な河川の流量調査や河川の利用者等との調整、河川法などの関係省庁の許可が必要であり、候補地点の選定から事業着手までに相当な時間がかかることが最大の課題と考えております。こうした点につきましては、部局横断による新規電源開発地点発掘プロジェクトにより、ダムや砂防堰堤、農業用水路等の既存インフラを活用することにより、環境に負荷をかけず、効率的に進められる地点を優先的に候補地として選定することでスピードアップを図っております。加えて、既存の老朽化した発電所について大規模改修を実施することにより、発電電力量の増加に取り組んでいます。  これらにより、発電所数は、建設部からの移管も含め、平成26年度から9か所増えて23か所に、年間の発電電力量は2,700万キロワットアワー増の3億8,000万キロワットアワーとなっています。この直近の電力量は、一般家庭10万7,000世帯分の電気使用量に相当します。  現在、新たな発電所の建設を6か所、既存発電所の大規模改修を5か所で進めるとともに、農政部のかんがい排水事業に合わせて土地改良区が建設する小規模水力発電施設の整備運営も受託するなど、一層の増加に取り組んでいるところでございます。  引き続き、これまでに蓄積してきた技術力を生かして、さらなる新規地点の発掘、開発を積極的に進めてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私にはサプライチェーン改革やGXを踏まえた県産業の将来像についてという御質問を頂戴いたしました。  コロナ禍や様々な国際間の紛争など、大きく社会環境、経済環境が変わりつつある中で、そうした変化にしっかり適合していくということが持続可能な経済発展にとって極めて重要だというふうに考えております。そういう観点から、このサプライチェーンの在り方、そしてGXの推進はいずれも重要な課題だというふうに思っております。  まず、サプライチェーンにつきましては、サプライチェーン強化のために県外にある生産設備を廃止して県内に新設または移設するような場合には、県としても産業投資応援助成金の補助率を加算することによってこうした生産拠点の積極的な呼び込みに努めているところであります。  また、産業振興機構におきましては、受発注取引推進員が国内に回帰してくる企業等を訪問させていただいて、近隣の企業から部品等を調達することができるよう取引の仲介をさせていただいております。サプライチェーンの変革に伴う新たなサプライチェーンの中にしっかり県内企業が参入していくことができるように支援をしてきております。  こうした取組を通じて、このサプライチェーンの大きな変革の中でも長野県内の企業、産業がしっかりとその地位を占められるように取り組んでいく必要があるというふうに思っております。  他方で、GXにつきましては、長野県としては国と同様に2050ゼロカーボン、そして2030までに産業部門では54%削減ということを掲げているところでございます。そうした取組を後押しするため、産業振興機構のグリーンイノベーションセンターにおいて県内企業のGXを支援させていただいているところであります。ただ、このゼロカーボンへの機運は、グローバルな大企業は当然のこととして取り組みをされていますけれども、中小企業を含め、産業界においてはこうした取組はまだまだ十分ではないというふうに思っております。  今回、価格高騰対策の中におきまして、再エネ設備、省エネ設備の中小企業の導入支援を行わせていただいているところでありますけれども、このGXの推進、ゼロカーボン社会に適合した企業変革をしていくことが極めて重要だということを産業界の皆様方としっかり共有して取組を進めていきたいというふうに思います。産学官で長野県産業イノベーション推進協議会を設置しているところでございますので、こうしたところで問題意識と方向性を共有して、ぜひ産学官連携でGXへの取組を加速化させていきたいというふうに考えております。  長野県の産業も、これまでも時代の変化とともにそのありようを変えて発展を遂げてきたわけであります。今また大きな時代の転換期にありますので、産業界の皆様方と問題意識をしっかり共有し、県としても必要な支援策をしっかり講ずることによって、この時代の変化にしっかりと適合して長野県産業の発展に取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔35番依田明善君登壇〕
    ◆35番(依田明善 君)それぞれ御答弁をいただきました。  サプライチェーンの改革ということは非常に難しいことではありますけれども、県とすれば、先ほどの産業労働部長のお話にもありました戦略的な施策を幾つも展開されているようでありますし、それから、企業も投資意欲が高まってきているということでありますので、ぜひ継続してお願いしたいというふうに思います。  それから、再生可能エネルギーですけれども、これは太陽光パネルが一番普及しておりますが、小水力発電をぜひどんどん広げていってほしいというふうに思います。また、地熱発電も日本には向いているかと思います。火山もたくさんありますので、そういった地の利を生かして地熱発電も行っていただきたいというふうに思います。  100年に一度のパンデミックということでありまして、これは企業も本当に今まで経験したことのない苦しい状況に追い込まれていると思います。ですから、ゆっくり正月が迎えられるように、困窮している企業にはぜひ救いの手を差し伸べていただきたいというふうに思います。ぜひとも皆さんの総力を結集してこの大きな山を乗り越えていっていただきたいというふうに思います。  冒頭でも申し上げましたが、世の中に対する不安や危機感というものは、悪い影響ばかりではなく、イノベーションを起こすための心のエネルギーの源にもなります。歌手の中島みゆきさんのヒットナンバーの中に「宙船」という歌があります。その歌詞の中に、「その船を漕いでゆけ お前の手で漕いでゆけ お前が消えて喜ぶ者にお前のオールをまかせるな」という一節が何度も出てまいります。  今の日本丸という船の漂流ぶりを見ていると、この言葉が胸に突き刺さります。今までの日本は、ものづくりなんてほかの国に任せておけばいいんだ、我々は世界有数の先進国なんだという不遜で傲慢な考え方が強かったと思います。そういう心構えが災いし、研究者や技術者を報酬面や待遇面で粗末にした結果、優秀な人々の多くは海外に流れていってしまいました。気がつけば、国力は衰え、賃金も上がらず、若者の士気も下がり、挙句の果てには国の存亡すら危ぶまれる状態になってしまいました。本当に嘆かわしいことだと思います。  サプライチェーンの改革につきましては、ここに来てようやくあらゆる企業や事業所が動き始めたわけであります。したがって、県としてもその流れを真正面から受け止め、あらゆる施策を労して受皿づくりに努め、ぜひともピンチをチャンスに変えていただければと思います。そのことを切にお願い申し上げまして、一切の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君)次に、小林あや議員。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君)阿部知事におかれましては、これまで時代の変遷に色あせない方向性を打ち出してこられたこと、決して容易なことではなかったろうと拝察いたします。  WHOのテドロス事務局長は、新型コロナウイルスの終わりが視野に入ってきたと記者会見で発言しましたが、地域経済を含め、安心して暮らせる社会の再構築には大変なエネルギーが必要です。4期目を迎え、阿部知事のさらなるリーダーシップに期待いたします。  それでは、都市公園の在り方について質問いたします。  県内には、松本平広域公園、若里公園など6か所の都市公園があります。これらは、民間活力を活用して利用者サービスの向上を図るとの狙いから指定管理者制度を導入し、さらに、収支バランスの調整を図るため、公園のオープン化を進めるとしています。  日本における都市公園の起源は明治政府まで遡り、住民にとってのレクリエーションの場を公園としたことにあるようです。レクリエーションは、リ・クリエーション、再びつくり出すという意味であり、仕事や勉強などの疲れを癒し、精神的、肉体的に新しい力を盛り返すための休養、娯楽といった概念が含まれます。都市公園の存在意義とは、私たちがそこで再び力を盛り返せるようになることで、日々の生産活動の維持向上につながり、最終的に暮らしやすさにも結びついていくことであるように思います。  一方で、維持管理には多額の費用もかかるため、本来の目的が達成されるような利用者にとって使いやすい公園としていくことと経費とのバランスを考慮していくことが求められる時代でもあります。  そこで、都市公園の現状の認識と課題について建設部長に伺います。  県では、利用者に使いやすい公園を目指し、様々に工夫をしてきていますが、公園の在り方についてのビジョンを分かりやすく明確にしていくことが重要だと考えます。ビジョンを持つことで公園内の様々な施設間の連携が図られていくと思いますが、6か所の都市公園はそれぞれどういう方向性を目指していくのか。また、各公園をプロデュースする人材の起用など抜本的な民間活力の導入が必要ではないかと考えますが、建設部長の御見解を伺います。  松本平広域公園は、総合球技場サンプロアルウィンや陸上競技場などのスポーツ施設を内包し、空港と隣接した立地が特徴であることから、これらの施設との連携を生かした利活用が期待できると考えます。  第82回国民スポーツ大会や第27回全国障害者スポーツ大会も開催されますが、県の中央に位置するスポーツゾーンとしての拠点づくり、また、それにふさわしい再整備も求められる中、空港活性化との密接な連携も期待できる潜在力の高いこの公園への評価と今後の在り方について建設部長にお伺いします。  次に、県営野球場についてですが、平成28年11月定例会本会議にて、知事は新たな県営野球場の設置について現段階では考えていないという答弁をされております。  平成5年の信州博覧会開催に伴い県営野球場が取り壊されて以来、関係団体等から松本平広域公園を含む周辺地域に新たな野球場建設を要望する声が長く続いているのは、この野球場建設話のそもそもの発端について3代前の和合松本市政時代まで遡る話だからであり、松本地域に積年の思いがある背景は御理解いただけるものと信じております。  その上で、松本平広域公園を含む周辺地域の野球場建設について、これまでどのような検討経過があったのか。また、建設を要望する声を踏まえ、建設の可否を含めた今後の方向性について関係団体等に対する県からの説明を求める声がありますが、教育長に御見解を伺います。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君)私には都市公園の在り方について3点御質問をいただきました。  まず、都市公園の現状の認識と課題についてのお尋ねでございます。  都市公園は、良好な都市環境の形成、防災性の向上やレクリエーションの場の提供、また、近年のコロナ禍においては3密回避の場となるなど多様な役割を果たしており、県民の皆様が安全で豊かな暮らしを実現する上で欠かすことのできない都市施設と考えています。  県では、利用者にとって使いやすい公園となるようトイレの改修等を進めておりますが、社会環境が大きく変化する中で、公園に期待する利用者のニーズも多様化する状況にあります。加えて、公園のベンチ、遊具など約6,800に及ぶ施設の多くは設置から20年以上経過していることから、今後、施設の更新、補修を実施するに当たり、多様化したニーズをどのように反映させていくかが課題と考えております。  次に、都市公園の目指す方向性と民間活力の導入についてのお尋ねでございます。  県の都市公園は、松本平広域公園のような松本空港の緩衝緑地としての総合的な公園、飯田運動公園のようなスポーツ施設を中心とした公園、烏川渓谷緑地のような自然を生かした渓谷緑地など、目的や規模、また特性も様々です。  県では、公園ごとの基本計画に基づいて公園を整備し、安全、安心で利用しやすい環境づくりを重点に維持管理を行っているところですが、特に、松本平広域公園など広域的な誘客や多面的な機能を持つ公園では、さらなる利用者サービスの向上や効率的な管理運営を図るため、民間活力の導入も有効な手段の一つと考えています。  現在、公園のにぎわい創出やきめ細かな施設の配置などについて専門家の御意見を伺いながら検討を進めておりますが、今後は、御提案いただいた民間活力の導入も含めて検討してまいります。  最後に、松本平広域公園の評価と今後の在り方についてのお尋ねでございます。  松本平広域公園は、信州まつもと空港の緩衝緑地としての役割を担いながら、サッカーや陸上競技などのスポーツ施設をはじめ幅広い年齢層に対応したレクリエーションの場として、令和元年度には利用者が100万人を超えるなど、多くの方々に御利用いただいております。  また、本公園は、豊かな自然が広がる松本平を中心に位置し、信州まつもと空港や長野自動車道からのアクセスもよく、都市緑化信州フェアの成果である美しい庭園も整備されているなど、さらなる活性化が可能な魅力的要素の多い公園と考えています。  現在、信州やまなみ国スポ・全障スポの開催に向けて陸上競技場の建て替えを行っていることから、この時期を捉え、信州まつもと空港に隣接する立地等を生かしながら、公園の持つ潜在的な魅力を最大限発揮するための方向性について多くの方々から広く意見を伺いながら検討を進めてまいります。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)松本市への県営野球場建設の検討経過と関係者への説明についてのお尋ねでございます。  平成5年の信州博覧会の開催に伴い取り壊しとなりました県営松本野球場の検討経過につきましては、その後の松本平広域公園総合競技場、通称アルウィンの建設に当たり、野球でも使用可能な施設を建設するよう検討されましたが、信州まつもと空港の航空機の運航に支障があるとのことから断念された経緯がございます。  現在、松本市から今年度中に野球関係者等に説明するよう要望がございますので、松本市や庁内関係部局と調整の上、できるだけ早期に対応してまいります。  以上でございます。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君)県営野球場について、行政間が共にコンテキストを構築しながら進めることの重要性というものを改めて認識させられています。関係団体等の理解と合意を得られるような取組をお願いしたいと思います。  県内合同庁舎のトイレの洋式化率についてですが、松本は男子34.8%、女子29%、伊那、男子38.9%、女子35.3%、佐久、男子38.9%、女子36.8%などと洋式化率の低さが分かります。女子トイレの洋式化率も、男子トイレより遅れていることが分かります。トイレの現状は課題があると言えます。  また、合同庁舎は、地域振興局だけでなく、シニア大学の学習場所やパスポート申請窓口など幅広い年代の県民が利用する施設でもありますが、洋式化が遅れているだけでなく、臭いが取れないタイル張りの構造といったトイレ空間全体についても課題があると考えられます。  合同庁舎のトイレの洋式化と空間の整備について総務部長の御見解を伺います。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)合同庁舎のトイレの洋式化と空間整備についての御質問でございます。  合同庁舎のトイレにつきましては、給排水設備の劣化に対する修繕工事に合わせまして器具を洋式化し、また、近年は内装を臭いがつきにくい構造で整備してきているところでございます。  これまでに、長野、上田、諏訪の三つの合同庁舎で整備を実施しており、最初に整備しました長野は洋式化のみでございますが、その後に整備した上田、諏訪は、内装も含め整備をしており、今年度は伊那、飯田の二つの合同庁舎に着手、来年度は松本合同庁舎に着工し、おおむね2年で完了する予定でございます。残る四つの合同庁舎につきましても、令和8年度までに整備する予定でございます。  合同庁舎につきましては、多くの県民が利用する施設でございまして、そのトイレの利用環境の改善は重要であると認識しておりますので、計画的に整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君)洋式を使いたいけれども、不特定多数の座る便座に抵抗を感じる方もおられます。また、小さな子供は、一旦便座に手をついてから座る子がほとんどですし、服を下ろし過ぎて床につけてしまうこともあります。個室に便座除菌アルコールスプレーが設置してあればとても助かります。併せて御検討いただけましたらありがたいです。  信州の森林の将来について、針葉樹は大体40年から60年ほどで一人前の木に、広葉樹は150年から200年ほどかかると言われます。森林づくりは、自分の代で完結するものではなく、子の代も飛び越え、孫の代になってようやく成果が見える非常に気の長いスパンで考えていかなければならない壮大な事業です。森林から得られる恩恵は、個人の財産という範疇を超え、地球規模での財産と言えます。しかし、こうした恩恵は、森林が大自然の循環をつかさどることができる状態であることが大前提であり、これからの信州の森林をどうするか。まさに今原点回帰すべきときでもあると思います。  長い視点での行政の継続性が求められるわけですが、トップが替わると方向性が変わることはどこの世界でも起こり得ることであり、また、問題への直視が先送りされ、対策が遅れてしまうといった懸念も想定されます。森林づくりも例外ではありません。世代を超えた森林づくりを行う意義、目的が県民に広く共有され、理解されていくことが必要だと思います。そこで、今を担うリーダーである知事として、将来にわたって県全体で一体となって森林づくりに取り組んでいくためにどのような決意であるか。お伺いします。  森林づくりは、子供たちにとってすぐに目に見えて効果が分かる分野ではありません。森林県として小中学生に森林について学んでほしいと考えますが、子供たちは森林についてどのような内容をどのような狙いで学ぶのでしょうか。学校教育において、体験的に学ぶ場づくりはされているのでしょうか。教員が求めるべき成果とはどのようなものでしょうか。以上、教育長にお伺いします。  林業公社について、全国的に在り方をめぐってこれまで様々な議論がされてきました。林業公社は、民間業者の手の届きにくい領域の森林の管理、保全を担っていると理解しております。誰かがやらなければさらに荒れてしまうという森林奥地は、なかなか収益につながりにくいという性質上、民間業者が参入できない領域であり、だからこそ公的な位置づけの組織として事業展開されてきたと受け止めています。  一方で、公社では、昨年度から5年間の経営改善プランが示されていますが、経営的視点も必要であるという認識の下、バランスの取り方を模索されているように感じます。林業公社が存在することによって県民がどのような恩恵の享受につながっているのかを分かりやすく広めていく工夫も必要だと思いますし、公的資金で支えられている特徴の強い組織であるほど信州の森林政策をリードする存在でなければならないだろうとも思います。林業公社が果たすべき役割と課題について、また、公社の方向性や今後の組織の在り方についての見解を関副知事にお願いします。  管理者の高齢化や地域外所有者の相続などによって、管理が困難となった森林が増えています。他県では、公有化の推進や森林経営管理制度の導入等に取り組む事例が見られます。本県も市町村中心に取り組みを始めていることは承知しておりますが、本県における取組と方向性について林務部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には将来にわたって県全体で森林づくりに取り組んでいく決意という御質問をいただきました。  議員会館の敷地内には、「県有林の記」というものが立っています。今から100年以上前の明治38年に設けられたものであります。当時の関清英県知事が乱伐によって荒廃した山を憂いて、県自らが県有林を造成し、広く模範を全県に示して植林を奨励していこうと、こうした思いが記されているわけであります。後世にわたりこの事業をしっかりと継承し、その経営に努力して怠らなければ、信州の山々は再び昔の鬱蒼とした姿を取り戻すが、もし疎かにすれば、森林は日一日と荒廃してしまうことであろうというふうに書かれています。  このように、先人たちから私たちにしっかり残していただいている森林というものを我々はしっかり生かしていかなければいけない。そしてまた、後世へ引き継いでいかなければいけないというふうに思っております。  2020年に気候危機突破方針を策定いたしました。森林も吸収源として非常に重要なわけでありますが、その中で、アメリカ先住民の教えの中から、どんなことも7代先まで考えて決めなければならないという言葉も引用させていただいたところであります。この森林、そして環境の問題というのは、非常に長期的な視点を持ちながら取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  今、森林・林業は、この場でも何度も御答弁申し上げているように、大きな転換期に差しかかっているというふうに思っています。この転換をしっかりと成し遂げた上で、将来に恩恵がもたらされるように取り組んでいくことが重要だというふうに思います。後世に思いをはせながら、しっかりと方針を持って、将来世代に豊かな森林環境を引き継いでいきたいというふうに思っております。今を生きる皆さんとの共創ということもしっかり取り組んでいきたいと思いますし、この森林・林業政策は、時間を超えての共創ということも意識しながらしっかり政策に取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君)3点御質問を頂戴しました。  まず、森林学習の内容と狙いについてのお尋ねでございます。  長野県の小中学生が学校の教科等で学ぶ森林学習としては、例えば、理科や社会で二酸化炭素を取り込む地球温暖化の抑制や保水機能による自然災害防止などを学ぶことにより、森林の持つ役割や働きを理解すること。生活科や総合的な学習の時間で、学校周辺の森の落ち葉などを集めたおもちゃづくりや森の中での秘密基地づくりなどの体験により、主体的、創造的に探究する態度を育てること。道徳で、森林の手入れをボランティアで行う方々の姿に触れ、日頃の自分の行動を振り返ることにより自然への接し方に対する新たな見方や考え方を持つことなどがあります。  また、ある小学校では、豊かな自然を生かした教育活動の充実を狙いとして、学校林の中に椅子と机、さらにICT機器を用意し、1人1台端末を活用しながら、森林を背景に英語の自己紹介ムービーを撮影したり、森で飼育しているチョウの羽化を撮影して動画編集するなど、学校林などを活用しながらICTを融合させた特徴的な学びを行っております。  次に、学校教育における体験的に学ぶ場づくりについてでございます。  長野県が持つ身近にある豊かな自然環境を活用した体験的な学びの場として、例えば、林間学校や登山でウオークラリーや植物観察など自然に触れながら仲間と過ごす活動を行うこと。森林が自然界に果たす機能や重要性について学ぶとともに、実際に学校林で枝打ちや植樹などの活動を行うこと。長野県みどりの少年団連盟が推進し県や県教育委員会も運営に携わる「みどりの少年団」の活動で、フィールド探検や木工作、ネーチャーゲーム等を行うことなどがあります。また、遠足やキャンプなどの学校行事に地域の方や専門家を招き、森林に関するお話を聞きながら自然に直接触れて感じる学びも大切であり、このような体験を通した学びが児童生徒一人一人の心に深く刻み込まれ、大人になっても森林に思いを巡らすことにつながると考えます。  教員が求める成果についてでございます。  県教育委員会では、森林学習の成果は、児童生徒が森林について学んだり、森林の中で様々な体験をしたりすることを通して、森林が持つ意味や人間が森林とともにあることの重要性を感じ、信州の豊かな森林を次の世代につないでいく原動力となる心を育むことであると考えておりまして、信州に生まれ育つ児童生徒にとって、森林について学ぶことは非常に重要なことであると認識しているところでございます。  以上でございます。       〔副知事関昇一郎君登壇〕 ◎副知事(関昇一郎 君)林業公社が果たすべき役割と課題、今後の方向性等についてのお尋ねであります。  長野県林業公社の役割は、所有者が自ら管理できない森林を県土の保全や水源の涵養といった機能維持の観点から所有者に代わって造林し、伐採時には収益を分配し合う分収林事業を実施することを主としており、現在約1万7,000ヘクタールの森林の管理を行っております。  課題といたしましては、自己財源をほとんど持たない公社が管理する分収林の多くは現在育林期にありまして、収入が僅かなため借入金による事業運営をせざるを得ない状況にあり、多額の累積債務を抱えていることに加え、原木価格の長期的な低迷により厳しい経営状況にあることであります。  今後の方向性についてでありますが、公社が管理する分収林は、おおむね令和15年頃から主伐が本格的に始まる見込みでありますので、経営改革プランに沿って、間伐や獣害防除等の実施による森林資源の充実や計画的な路網整備、プロパー職員の採用やスキルアップによる組織体制の強化など、契約地の適切な管理や主伐に向けた体制の整備に取り組んでまいります。  これに加えまして、市町村における森林経営管理制度の実施に伴う調査や、公社が管理する森林の整備によるCO2吸収量をカーボンオフセットのJ-クレジットとして企業に販売するなど、ノウハウを生かした新たな取組を進めてまいります。  林業公社が地域の森林整備の推進役としてその役割を着実に果たしていけるよう、県としても経営改革プランの確実な実行に向け支援をしてまいります。  以上でございます。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君)森林所有者による管理が困難となった森林に係る取組についてお答えします。  所有者による管理が困難な森林を市町村等が管理する森林経営管理制度による取組が進められていますが、小規模町村が多い本県の実情を踏まえ、県では市町村間の連携による広域的な対応を促進してきています。  木曽地域においては、広域連合内に森林整備推進室を設立し、地域内の森林集約化の手続を共同で進めておりますし、上田、諏訪、北アルプス地域においては、協議会を設立して専門人材を配置し、所有者の意向調査や同意の取得など個別課題への対応に当たっているところです。  森林経営管理制度の開始から4年目となり、地域ごとの状況も明らかになってきておりますので、まずは広域的取組の促進など制度に基づく森林整備の進捗が図られるよう、地域振興局とともに市町村への支援を行ってまいります。  また、県外の都市部自治体と協定を結び水源地の森林整備などに取り組む県内自治体の例もございますので、そうした手法も研究しながら所有者による管理が困難な森林の整備促進を図ってまいります。  以上です。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君)広く県民に理解されながら進めていけるような森林づくりは、必ず将来よい結果につながると思います。森林が担う重要な役割については世界に向けた発信の在り方を考えていってほしいと要望し、全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時16分休憩          ──────────────────         午後2時32分開議 ○議長(丸山栄一 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。
     酒井茂議員。       〔32番酒井茂君登壇〕 ◆32番(酒井茂 君)伊那市選出、酒井茂でございます。私は、今回は高齢者の支援に関して質問をいたします。  まず、交通弱者対策についてであります。  長野県の高齢化率は33%でありまして、全国では高いほうにあります。今後も高齢者の数は増え続け、20年後にはピークに達すると言われております。人生100年時代とも言われておりますけれども、高齢者の数が増えていくことは誠にめでたいことであります。  しかし、高齢者の増加は、移動困難な高齢者の数の増加をもたらし、交通弱者対策と買物弱者対策は大変重要な課題になってまいります。  さて、平均寿命を見てみますと、長野県は全国で2位。大変すばらしいことであります。一方、健康寿命については、ある調査機関のデータによりますと20位というふうに言われておりまして、健康寿命を延ばすことが課題となっているわけであります。  高齢者が健康を維持するためには、積極的に外出して、人と交流し、楽しく活動することが重要であります。よく、高齢者の健康維持には「きょういく」が大事だと言われます。「きょういく」とは、教育委員会の教育ではなくて、今日行くところがあるという意味で外出を指すわけであります。  外出を実現するには、移動手段を持たない高齢者に対して、移動手段を確保することが不可欠となっております。公共交通機関の利用が不便な地方都市に住む者にとりましては、自動車はなくてはならない交通手段であり、また、自分で運転できるかどうかは日常生活を左右いたします。  一方、高齢運転者による事故が多発していることから、交通事故防止対策を充実することが重要であります。また、交通事故を防止するために免許証を自主返納する高齢者が増加しておりまして、自主返納者に対する支援策が課題となっております。免許証の返納を推進することは重要ではありますが、返納により生活に大きな影響が出ることから、返納した高齢者への支援策をセットで考えなければなりません。  そこで、警察本部長に以下3点お聞きいたします。  一つ目。高齢運転者による交通事故の件数の割合は、長期的に見てどのように変化していて、高齢者特有の事故原因をどのように分析しておられますか。また、分析結果を基に、これまでどのような対策を行い、今後充実していく対策としてはどのようなものを考えておられますか。  二つ目。安全運転サポート車に限定して運転できるサポカー限定免許制度が今年5月から運用されておりまして、高齢運転者による交通事故を防止する上で高い効果が得られることが考えられますが、県民への周知が不十分であると考えております。今後この制度をどのように周知していく方針か、伺います。  三つ目。免許証返納者には運転経歴証明書が発行されておりまして、これを持つことにより様々な支援を受けられますが、こうしたメリットが県民にあまり理解されていないことから、さらなる周知を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。また、警察として、運転免許証を返納しやすい環境づくりのためにどのような取組を行っているのか。伺います。  次に、企画振興部長に伺います。  運転経歴証明書を持参した際のタクシー料金の割引は、免許証返納者にとっては大きな支援となっている一方で、コロナ禍でのタクシー利用者全体の減少や長引く物価高騰によりましてタクシー事業者の経営状態は悪化しております。県には、このような状況下でタクシー事業者が免許証返納者を支援していることを改めて認識していただきますとともに、交通弱者にとって重要な公共交通の維持のため、物価高騰に苦しむタクシー事業者への支援の継続やさらなる充実を期待いたしますが、いかがでしょうか。  次に、県民文化部長にお聞きいたします。  高齢運転者による交通事故の中でも、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が多発していることを受けて、安全運転サポート車や安全運転装置等の購入に対する国の補助制度が過去にありましたが、2年で終了しております。いまだに同様の事故が多発している中で、なぜ補助制度がなくなってしまったのでしょうか。また、この補助制度は事故防止の上で高い効果を得られることから、県として制度を復活するよう国に対して要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、知事にお聞きいたします。  免許証を自主返納する人が増加しておりまして、免許証の年間返納件数は20年後には現在の3倍になるとの予測もある中で、免許証を返納した高齢者への支援が大きな課題となりますが、支援策の現状と課題をどう分析し、今後どのような対策を講じていく方針か。伺います。  地方における公共交通につきましては、以前から在り方の検討や見直しを行ってまいりましたが、抜本的な課題解決には至っておりません。特に、鉄道やバスなどにつきましては、これまで多額の税金を投入してまいりましたが、利便性の向上や利用拡大などにはつながっておりません。  こうした中で、現在、全国の地方都市では、移動手段としてコミュニティーバスや乗合タクシー、福祉有償運送などを活用した様々なサービスが提供されております。中でも、タクシーは、ドア・ツー・ドアでサービスを提供する公共交通として高い評価を受けております。  私の地元、伊那市では、AI、人工知能を活用して、自宅から目的地までの乗合タクシー、ぐるっとタクシーと呼んでおりますが、これが令和2年4月から運行されております。利用者がコールセンターに予約いたしますと、自動で配車や最適な乗り合い、運行経路を計算し、運転手に指示をするシステムであります。運賃は1人1回500円で、運転免許証返納者は半額で利用できます。  ぐるっとタクシーを利用できるのは65歳以上の高齢者が対象で、市内の三つのタクシー会社とJRバスの計4社が地域公共交通協議会から運行を受託しておりまして、年間経費は9,000万円、このうち8割が特別交付税で補填されております。現在12台で運行しておりますが、市民からは大変好評であります。  そこで、知事にお聞きいたします。  交通弱者対策として、AIを活用した乗合タクシーのシステムは、特に地方都市におきましては非常に優れたシステムでありまして、市町村にとって導入するメリットが大きいことから、県のリーダーシップによりまして全県にこのシステムを導入することを提案いたしますが、いかがでしょうか。また、今後の高齢化の進展によりまして、交通弱者対策のさらなる充実が求められることから、これに係る財政支援制度が充実するよう国に対して要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。  以上で1項目の質問といたします。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)高齢運転者の事故防止に関しまして3点御質問をいただきました。  まず1点目の高齢運転者による事故件数割合の変化と高齢者特有の事故原因、今後の対策についてお答えいたします。  高齢運転者による交通事故の割合は、交通事故全体の件数が年々減少している中、平成24年は19.8%であったところ、令和3年は27.9%と10年間で8.1ポイント増加してございます。また、高齢運転者特有の事故原因につきましては、高齢運転者は他の年齢層と比べ、安全不確認やアクセルとブレーキの踏み間違いなどの運転操作の誤りによる事故の比率が高くなってございます。  次に、高齢運転者の事故防止対策についてお答えいたします。  県警察では、高齢運転者を含む高齢者の交通事故防止対策を最重点として取り組んでいるところであり、自己分析に基づく具体的な対策として、事故を起こした高齢運転者に対する個別指導、交通安全運転教育車「チャレンジ号」を活用した参加体験実践型の交通安全教育、安全運転サポート車の体験乗車会の開催など、関係機関・団体と連携しながら高齢者の特性に応じた各種対策を行っております。  引き続き、高齢運転者による事故原因の分析結果や高齢運転者の特性等を踏まえた効果的な交通安全対策を推進してまいります。  2点目のサポートカー限定免許の周知についてお答えいたします。  サポートカー限定免許は、安全運転支援装置を備えた車両に限定する条件を免許に付与することで、運転に不安を覚える高齢運転者等により安全な自動車に限って運転を継続していただくという選択肢を設けた制度となります。  本制度の概要につきましては、県警ホームページに掲載しているほか、自動車教習所で実施している高齢者講習の機会を通じ周知を図っているところでございます。また、報道関係者や運転免許センターを訪れた方に対するサポカー体験試乗会を開催するなど、安全運転サポート車の安全性能についても周知を図っております。  引き続き、関係機関と連携し、運転に不安を覚える高齢者等が交通事故を起こさないための手段として、安全運転サポート車や、その動機づけとなるサポートカー限定免許制度の周知を図ってまいります。  3点目の運転免許証返納に関する御質問についてお答えいたします。  まず、運転経歴証明書によるメリットの県民への周知についてでございます。  県警察では、民間事業者の協力の下、料金の割引等により、運転免許を返納した高齢者の生活を幅広くサポートする長野県警察シニアサポート制度を行っております。また、多くの自治体では免許返納者に対する支援制度を設けております。  これらの制度について、ホームページへの掲載や免許窓口における返納を考えている方等への個別説明などをしており、引き続き自治体とも連携しながら支援制度の周知を図ってまいります。  次に、運転免許を返納しやすい環境づくりについてお答えいたします。  県警察では、免許センターや警察署の全ての免許窓口に、運転に不安を抱く方やその家族からの相談に応じる相談担当者を配置しております。また、令和元年には、全国共通の安全運転相談ダイヤルの運用を開始し、さらに、令和2年8月からは、免許窓口まで遠い地域にある7交番にも運転免許自主返納窓口を拡充したところでございます。  今後も、運転に不安を抱く方々の心情に寄り添いながら、自主返納しやすい環境づくりを進めてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君)私にはタクシー事業者に対する支援についてお尋ねがありました。  タクシーは、通院や買物など県民の日常生活を支える身近な公共交通機関であります。特に、自家用車を自ら運転できない高齢者の方々などにとっては、ドア・ツー・ドアでの移動を可能にする重要な交通手段です。  県内の多くの事業者において、運転免許証を返納した方が運転経歴証明書を提示することでタクシー運賃の1割を割り引く取組を実施しており、高齢者の外出機会の創出に貢献しているものと認識しております。  一方、コロナ禍による利用者の減少に加え、燃料価格の高騰などにより、タクシー事業を取り巻く環境は大変厳しいものであると承知しております。県では、タクシー事業者に対しまして、コロナ禍における運行継続支援や燃料価格高騰に対する支援を行ってきたほか、ユニバーサルデザインタクシーの車両購入費への助成、人材不足を解消するため二種免許取得費用への助成も行っているところです。  高齢化の進展に伴い、今後ますますタクシーの利用ニーズが高まることが想定される中、タクシー事業者への支援を継続してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君)安全運転サポート車の購入等に対する国の補助制度が終了した理由と復活の要望についてのお尋ねでございます。  国の安全運転サポート車、いわゆるサポカー補助金につきましては、平成31年に池袋で発生した高齢運転者の暴走事故をきっかけとして、高齢運転者のサポカー導入の加速化を目的に創設され、令和元年度から3年度までの間に、全国では約139万件、県内におきましても約3万6,000件の助成実績があったと承知しております。  補助事業が終了した理由につきまして経済産業省に確認しましたところ、令和3年11月から国産新型車の保安基準として衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務づけられたことから、今後は市場による普及が見込まれるため、事業を終了したという回答でございました。  しかしながら、県内におけるペダル踏み間違いによる事故のうち、高齢運転者が占める割合が高いことを踏まえますと、新型車の普及を待つことなくサポカーを普及することが必要でございますし、高齢者の経済的負担を考慮すると、後づけができるペダル踏み間違い急発進抑制装置を普及することも有効であるというふうに考えております。  このため、県といたしましては、引き続き高齢者に対するサポカー普及に向けた啓発に取り組みますとともに、国に対して後づけ装置を含めた補助制度の復活を要望してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には2点御質問をいただきました。  まず、免許を返納された方に対する支援策の現状と課題をどう分析し、今後どう対策を講じていくのかという御質問であります。  長野県の場合は、自家用車に移動手段を依存している地域でありますので、免許証を返納された高齢者の方の移動手段の確保と日常生活に対する支援は本県にとって極めて重要な課題だというふうに考えています。  こうした問題意識の下、高齢運転者が加害者となる交通事故が多発しているという状況を踏まえて、令和元年9月に、市町村や公共交通、高齢福祉等の関係機関の皆様方と共に長野県高齢ドライバー運転事故防止関連対策懇談会を立ち上げさせていただき、この懇談会を通じて得た御意見も参考にしながら、令和2年4月に高齢ドライバー運転事故防止関連対策指針を策定して取り組んできているところでございます。  大きく二つの内容でありまして、一つは、高齢ドライバーの安全運転支援、支える対策、もう一つは、免許証を返納された高齢者に対する移動や日常生活の支援ということで、県警察をはじめとして関係部局や関係団体、市町村と協力をしながら取り組んできているところであります。  移動に対する支援としては、駅やバス車両のバリアフリー化や、バス、タクシーといった公共交通の利便性の向上、さらには、住民の助け合いによる輸送事業の展開などに取り組んできたところであります。また、日常生活に対する支援としては、買物への支援や移動販売の促進、高齢者が歩いて通える場所での市民活動、また、茶話会等の居場所づくり、こうしたことを市町村や関係団体と共に進めてきているところであります。  しかしながら、酒井議員から御指摘があったように、まだまだ取り組み、踏み込み不足の点もあるというふうに思っておりますし、これからますます御高齢の方が増えてくる中で、どうやってこの足を確保し、また、必要な生活支援を行っていくのかということは、単独の部局にとどまらない、交通面や医療面、福祉面、様々な分野で横断的に取り組まなければいけない重要な課題だというふうに考えております。  そういう意味で、先ほど申し上げた長野県高齢ドライバー運転事故防止関連対策懇談会におきまして、支援策の効果をまずはしっかり検証すると同時に、この対策指針についても、例えば自動車の性能も大分上がってきているところでありますので、現状を踏まえて必要な見直しを行っていきたいというふうに思います。あわせて、昨年11月に公共交通活性化協議会を立ち上げたところでございますので、高齢者の移動手段、足の確保についてもしっかり考えていきたいというふうに思っています。  引き続き、県警本部をはじめ、関係機関としっかり連携を図りながら、御高齢の方が免許を返納された後も生き生きと自分らしく暮らし続けられるよう対応していきたいと考えております。  続きまして、AIを活用した乗合タクシーの導入についての御質問でございます。  過疎化、高齢化が進む中で、乗合タクシーは非常に重要な交通手段だというふうに考えております。配車や最適な運行ルートの設定にAIが活用されることになりますと、事業者の皆さんの負担軽減や利用者の利便性の向上にもつながるものというふうに考えております。  AIを活用した乗合タクシーは、長野県公共交通活性化協議会においても主要なテーマとして取り上げていきたいというふうに思います。市町村の取組を必要に応じて支援していきたいというふうに思っておりますし、いい事例を共有していきたいというふうに考えております。  また、こうした市町村の取組に対しては、国庫補助金が交付されておりますほか、特別交付税が措置されているところでございます。国庫補助金については市町村ごとに上限額が定められていることから、場合によっては市町村の財政負担が多額になっているところもあるというふうに理解しているところであります。  引き続き、国に対しては、必要な予算をしっかり確保するように求めていきたいというふうに考えておりますし、現在、県としても交通政策全般の体制を強化して取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、こうした御高齢の方に対する支援や地域におけるこうした乗合タクシーの積極的な活用、全体として県内の移動がより利便性が高まるように県として具体的な対策を講じていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔32番酒井茂君登壇〕 ◆32番(酒井茂 君)誰もがいつかは必ず交通弱者になります。県として支援策にしっかり取り組むよう要望し、次の買物弱者対策についての質問に移ります。  外出手段がない高齢者等にとりまして、食料品や生活用品を確実に入手することが重要であります。地方都市の中でも、中山間地に暮らす方々にとりましては特に重要な問題であります。  経済産業省の調査によりますと、買物弱者は全国に700万人いると言われております。その上、今後は免許証返納者が増加することから、買物弱者の数は劇的に増加することが予想されております。  過去の時代には、親子が同居し、助け合うことが当たり前でありましたが、現在は同居が当たり前ではなくなり、買物や通院などにおいて高齢者が自分の子供に頼りにくくなっている状況があります。食料品などの買物が思うようにできなければ、直ちに日常生活や健康の維持に影響してしまいます。  そうした中で、全国の地方都市においては、様々な買物弱者対策が進められております。そのうちの一つが伊那市で運行しております乗合タクシーであり、これが機能すれば相当程度の成果を上げることができます。  一方、伊那市では、ドローンを活用した買物支援の実証実験が行われております。しかし、ドローンによる輸送は、商品の積込みや荷受けの人手の確保、さらにはパイロットの確保や着陸地点から個人宅への配達の手間が必要であります。また、輸送する商品の重量は1回につき5キログラムに制限され、落下のリスクを考慮して飛行ルートが河川の上に限定されるなど、様々な制約もあります。現在旧長谷村で実証実験が行われておりますが、年間4,000万円のコストがかかり、費用対効果の面で課題があるなど、現状では実用化はなかなか難しいものがあると考えます。  一方、買物弱者対策として高い評価を得ているのが移動販売車によるサービスで、全国では様々な事業体が営業しております。県内におきましては、現在43の事業者によるサービスが提供されております。  伊那市におきましても複数の事業者が営業しておりますが、徳島県に本社があります株式会社とくし丸が運営しております「とくし丸」の利用者が最も多い状況であります。運搬車両である軽トラックの名前は、徳島県にちなんで「とくし丸」で統一されております。このサービスは、徳島県在住者が、買物弱者を救うとともに事業として独立したいとの思いから始めたものであります。2012年に創業を開始いたしましたが、現在は全国にエリアを拡大し、1,000台もの軽トラックが営業しております。  とくし丸本社は、地域のスーパーと契約し、商品の販売価格はスーパーの店頭価格に10円上乗せされております。売れ残った商品は全てスーパーに返品されます。県内では、七つのスーパーと契約、提携をしております。事業者は提携スーパーで食料品や日用品を軽トラックに積み込み、各家庭を週2回は訪問するという、言わば移動スーパーのようなものであります。事業者はとくし丸本社と契約してロイヤルティーを支払い、軽トラックは自分で用意いたします。  とくし丸は、商品の販売だけでなく、地域の見守り隊の役割も果たしております。さらに、スタッフと高齢者の会話や情報交換を通じて、高齢者の健康維持や予防活動にも貢献しております。  現在、伊那市の旧長谷村と高遠町を中心に移動販売を行っております長谷在住の中山さんは、中山間地における移動販売の重要性を認識し、とくし丸本社と提携しておりました地元のスーパー「ニシザワ」に直談判し、会社を早期退職して平成29年に事業を開始したところでございます。  伊那市では、過疎地や辺地を対象に営業する場合には、市の単独事業として、車両購入費、450万円が限度、リース料、年間120万円を限度として補助をしております。一方、長野県におきましては、残念ながら補助を受けられるような制度は見当たりません。  鳥取県では、買物弱者対策として中山間地域買物支援事業がありまして、移動販売車の購入費や移動販売車の運営費に対する支援を受けられますが、大いに参考にすべきと考えます。  そこで、知事にお聞きいたします。中山間地域に暮らし続ける環境づくりの一つとして高齢者等の買物弱者対策が重要でありますが、現在県で実施している施策の現状と課題をどう分析しておられるのか。伺います。  あわせて、他県では、移動販売や宅配サービスに要する経費への補助等によりまして買物弱者対策を後押ししている事例もあるわけであります。買物弱者対策に取り組む事業者や市町村に対し、長野県におきましても積極的に支援することを提案いたしますが、今後施策をどのように推進するのか。伺います。  以上で二つ目の質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)買物弱者対策の現状、課題、そして今後の施策についてという御質問であります。  中山間地を多く抱える長野県におきましては、この買物弱者への支援というのは非常に重要な課題だというふうに思います。まずは過疎地域持続的発展方針の中におきましてこうした生活基盤をしっかり確保するということで、市町村と連携した取組を進めているところでございます。  多くの市町村においてこの買物支援の必要性ということを認識されているところでありますので、市町村と連携して支援をしていかなければいけないというふうに思います。これまで、県としては、先ほどの免許返納者に対する支援の中でもこの買物支援について位置づけて対応してきたところでありますし、例えばソーシャル・ビジネス創業支援金等によります支援、移動販売や宅配サービス等の支援も行ってきているところでありますが、中山間地域では事業を継続していく上で課題が多いというふうに思っております。  この買物支援は、高齢者福祉、地域交通の確保といった多面的な検討を要する問題だというふうに考えております。今回、交通の在り方についても、より体制を強化して取り組んでいきたいというふうに思いますし、もう一方で、この中山間地域の暮らしをどう支えるかということについてもぜひ総合計画の中にしっかり位置づけを行いながら、ますますこうした事業の維持存続が難しい状況になっている中で、市町村と県とでどう支えていくかということについてしっかり検討していきたいというふうに考えております。  引き続き、どこに暮らす方も安心して暮らせるような長野県づくりに取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。
          〔32番酒井茂君登壇〕 ◆32番(酒井茂 君)今、知事からは、総合計画にどのように盛り込むかということも含めまして前向きな答弁をいただいたわけであります。  地方都市におきまして、地域に住み続けられる条件といたしまして、特に高齢者の移動手段の確保と買物支援が重要であります。高齢者に優しい県となり、高齢者が安心して幸せに暮らせる県となるために様々な支援策を総動員していただくことを要望いたしまして、以上で私の全ての質問といたします。 ○議長(丸山栄一 君)以上で行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑は終局いたしました。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案委員会付託 ○議長(丸山栄一 君)次に、お諮りいたします。第10号「令和3年度長野県一般会計及び特別会計の決算の認定について」及び第11号「令和3年度長野県企業特別会計剰余金の処分及び決算の認定について」は、決算特別委員会に付託の上、審査することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君)御異議なしと認めます。よって、本件は決算特別委員会に付託の上、審査することに決定いたしました。付託一覧表は後刻お手元に配付いたします。          ────────────────── ○議長(丸山栄一 君)次に、残余の知事提出議案をそれぞれ所管の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書を提出願います。付託一覧表は後刻お手元に配付いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △請願・陳情提出報告、委員会付託 ○議長(丸山栄一 君)次に、去る6月定例会後、県議会に対して請願及び陳情の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読、議案等の部「4 請願・陳情文書表」参照〕 ○議長(丸山栄一 君)以上であります。  ただいま報告いたしました請願及び陳情を、それぞれ関係の委員会に付託いたします。  各委員会におかれては、慎重審議の上、速やかに議長の手元まで審査報告書を提出願います。請願・陳情文書表は後刻お手元に配付いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △請願・陳情取下げの件 ○議長(丸山栄一 君)次に、お手元に配付いたしましたとおり、請願及び陳情の取下願がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  ただいま報告いたしました請願及び陳情取下げの件を本日の日程に追加いたします。  本件を一括して議題といたします。  お諮りいたします。本件については、それぞれ願い出のとおり取下げを許可するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君)御異議なしと認めます。よって、本件はそれぞれ願い出のとおり取下げを許可することに決定いたしました。       〔議案等の部「5 請願・陳情取下願」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案の報告 ○議長(丸山栄一 君)次に、議員から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕 議第1号         私学助成の一層の充実を求める意見書案提出書                                令和4年9月30日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              風 間 辰 一            賛 成 者              小 島 康 晴  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  小 池   清  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人              酒 井   茂  丸 山 大 輔  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 林 東一郎  荒 井 武 志              埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫  中 川 博 司              寺 沢 功 希  花 岡 賢 一  池 田   清              熊 谷 元 尋  望 月 義 寿  宮 澤 敏 文              諏 訪 光 昭  小 池 久 長  清 水 純 子              小 山 仁 志  川 上 信 彦  加 藤 康 治              清 水 正 康  毛 利 栄 子  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第2号         地方の農地の保全と活用のための支援拡充を求める意見         書案提出書                                令和4年9月30日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              諏 訪 光 昭            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  小 池   清  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人              酒 井   茂  丸 山 大 輔  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 島 康 晴  小 林 東一郎              荒 井 武 志  埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫              中 川 博 司  寺 沢 功 希  花 岡 賢 一              池 田   清  熊 谷 元 尋  望 月 義 寿              宮 澤 敏 文  小 池 久 長  清 水 純 子              小 山 仁 志  川 上 信 彦  加 藤 康 治              清 水 正 康  毛 利 栄 子  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第3号         女性デジタル人材育成を強力に推進するための支援を求         める意見書案提出書                                令和4年9月30日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              諏 訪 光 昭            賛 成 者              風 間 辰 一  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  小 池   清  山 岸 喜 昭              依 田 明 善  石 和   大  堀 内 孝 人
                 酒 井   茂  丸 山 大 輔  共 田 武 史              大 畑 俊 隆  宮 下 克 彦  竹 花 美 幸              竹 内 正 美  丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫              山 田 英 喜  小 島 康 晴  小 林 東一郎              荒 井 武 志  埋 橋 茂 人  続 木 幹 夫              中 川 博 司  寺 沢 功 希  花 岡 賢 一              池 田   清  熊 谷 元 尋  望 月 義 寿              宮 澤 敏 文  小 池 久 長  清 水 純 子              小 山 仁 志  川 上 信 彦  加 藤 康 治              清 水 正 康  毛 利 栄 子  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第4号         国の大型経済対策の更なる充実を求める意見書案提出書                                令和4年9月30日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              風 間 辰 一  小 島 康 晴  諏 訪 光 昭              毛 利 栄 子            賛 成 者              山 岸 喜 昭  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  小 池   清  依 田 明 善              石 和   大  堀 内 孝 人  酒 井   茂              丸 山 大 輔  共 田 武 史  大 畑 俊 隆              宮 下 克 彦  竹 花 美 幸  竹 内 正 美              丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫  山 田 英 喜              小 林 東一郎  荒 井 武 志  埋 橋 茂 人              続 木 幹 夫  中 川 博 司  寺 沢 功 希              花 岡 賢 一  池 田   清  熊 谷 元 尋              望 月 義 寿  宮 澤 敏 文  小 池 久 長              清 水 純 子  小 山 仁 志  川 上 信 彦              加 藤 康 治  清 水 正 康  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第5号         農家を支えるための米価下落対策等の強化を求める意見         書案提出書                                令和4年9月30日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              風 間 辰 一  小 島 康 晴  諏 訪 光 昭              毛 利 栄 子            賛 成 者              山 岸 喜 昭  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  小 池   清  依 田 明 善              石 和   大  堀 内 孝 人  酒 井   茂              丸 山 大 輔  共 田 武 史  大 畑 俊 隆              宮 下 克 彦  竹 花 美 幸  竹 内 正 美              丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫  山 田 英 喜              小 林 東一郎  荒 井 武 志  埋 橋 茂 人              続 木 幹 夫  中 川 博 司  寺 沢 功 希              花 岡 賢 一  池 田   清  熊 谷 元 尋              望 月 義 寿  宮 澤 敏 文  小 池 久 長              清 水 純 子  小 山 仁 志  川 上 信 彦              加 藤 康 治  清 水 正 康  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。          ────────────────── 議第6号         高等教育における給付型奨学金の対象者の拡大を求める         意見書案提出書                                令和4年9月30日      長野県議会議長 丸 山 栄 一 様            提 出 者              風 間 辰 一  小 島 康 晴  諏 訪 光 昭              毛 利 栄 子            賛 成 者              山 岸 喜 昭  望 月 雄 内  服 部 宏 昭              萩 原   清  本 郷 一 彦  向 山 公 人              佐々木 祥 二  西 沢 正 隆  鈴 木   清              清 沢 英 男  小 池   清  依 田 明 善              石 和   大  堀 内 孝 人  酒 井   茂              丸 山 大 輔  共 田 武 史  大 畑 俊 隆              宮 下 克 彦  竹 花 美 幸  竹 内 正 美              丸 茂 岳 人  大 井 岳 夫  山 田 英 喜              小 林 東一郎  荒 井 武 志  埋 橋 茂 人              続 木 幹 夫  中 川 博 司  寺 沢 功 希              花 岡 賢 一  池 田   清  熊 谷 元 尋              望 月 義 寿  宮 澤 敏 文  小 池 久 長              清 水 純 子  小 山 仁 志  川 上 信 彦              加 藤 康 治  清 水 正 康  高 村 京 子              和 田 明 子  両 角 友 成  山 口 典 久              百 瀬 智 之  小 林 君 男  小 林 あ や              原   健 児  長野県議会会議規則第23条第1項の規定により、議案を別紙のとおり提出します。       〔議案等の部「1 議案 (2)議員提出議案」参照〕 ○議長(丸山栄一 君)以上であります。  ただいま報告いたしました議員提出議案を本日の日程に追加いたします。
             ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員提出議案 ○議長(丸山栄一 君)本案を一括して議題といたします。  お諮りいたします。本案については、それぞれ会議規則第44条の規定により提出者の説明及び委員会付託を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君)御異議なしと認めます。よって、本案はそれぞれ提出者の説明及び委員会審査を省略することに決定いたしました。  本案それぞれに対して質疑及び討論の通告がありませんので、本案を一括して採決いたします。  本案それぞれ、原案どおり決するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君)御異議なしと認めます。よって、本案はそれぞれ原案どおり可決されました。          ────────────────── ○議長(丸山栄一 君)次会は、来る10月12日午後1時に再開して、各委員長の報告案件を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって散会いたします。         午後3時9分散会...